研究課題/領域番号 |
25860789
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三木 浩和 徳島大学, 大学病院, 助教 (50511333)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多発性骨髄腫 / γδT細胞 / lenalidomide |
研究概要 |
平成25年度 1)lenalidomideの免疫増強作用を利用したγδT細胞の増幅と抗腫瘍活性増強法の開発とlenalidomideによるγδT細胞の活性化の機序の検討 末梢血単核球にゾレドロン酸とlenalidomideあるいはゾレドロン酸とIL-2を添加培養後誘導されたγδT細胞の増幅効率とその骨髄腫細胞株に対する細胞傷害活性を比較した。ゾレドロン酸(Zol)またはイソペンテニル二リン酸の前駆体であるHMB-PPとともにレナリドミド(Len)を添加すると、1週後末梢血単核細胞からIFN-γを高発現し、Foxp3の発現の弱いTh1様γδT細胞が強力に誘導された。一方で、制御性T細胞様γδT細胞の誘導はなかった。このように誘導したγδT細胞の抗骨髄腫効果を検討したところ、骨髄腫細胞株(RPMI8226、U266、KMS-11)および患者由来の骨髄腫細胞に強い細胞障害活性をもたらした。またこのγδT細胞の抗骨髄腫活性は、骨髄間質細胞存在下でも同様に示された。さらに骨髄腫細胞株のコロニー形成能が抑制される[RPMI 8226: 81±1(平均±SD)対0±0; KMS-11: 40±1対16±4 コロニー数/dish, それぞれp<0.01]とともに,薬剤抵抗性分画であるside population(SP)のサイズが減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、in vitroにおける実験を中心に行い、予定していた研究はほぼ終了しており、結果も集積されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、動物実験を主に研究を行う。 1) γδT細胞のADCC活性を利用した抗体併用療法の開発:γδT細胞はFcγ受容体(CD16)を高発現しておりADCC活性を発揮することが可能である。γδT細胞療法の治療効果を高めるために、我々が開発しているADCC活性を惹起するヒト型化抗骨髄腫特異的抗体(HM1.24)や抗TRAIL受容体アゴニスト抗体を、γδT細胞に併用することにより抗骨髄腫活性の増強効果を検討する。さらに、lenalidomideの添加によるγδT細胞のADCC活性の増強効果を誘導しうる濃度、培養時間などの条件を解析する。ADCC活性はPKH標識骨髄腫細胞に我々の既報(Blood. 90(8): 3179-3186, 1997)どおりヒト型化抗骨髄腫IgG抗体(HM1.24)の全処理後γδT細胞を添加し評価する。 2)動物モデルにおけるγδT細胞の抗骨髄腫効果の検討:ヒト骨髄腫細胞による病変が形成され患者の病態を再現できる動物モデルである我々のグループの矢田らが作成したSCID-rab骨髄腫モデル(Yata K et al. Leukemia. 2004, Takeuchi K, et al. PLoS One 2010)を用い解析する。まず、摘出した家兔大腿骨をSCIDマウスの皮下に移植し4週後、移植した家兔の大腿骨骨髄内にヒト骨髄腫細胞株INA6を直接注入する。INA6細胞は家兔大腿骨内のみで増殖しヒト骨髄腫に類似した腫瘍病変と骨破壊病変を形成させる。腫瘍の生着を腫瘍のマーカーである血中ヒト可溶性IL-6受容体濃度で確認した後、γδT細胞を投与し、ゾレドロン酸とlenalidomideの追加投与の有無による抗腫瘍効果、骨病変進行抑制効果を検討する。γδT細胞の投与細胞数、投与経路は既報の固形癌動物モデルのものを参考にするが、この点は予備検討を行いながら評価する。治療効果の評価は、1週毎にマウス血中のヒト可溶性IL-6受容体濃度を測定し、3週後に家兔骨を摘出し、μCTによる画像、病理組織、骨形態計測を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に購入すべき消耗品、実験用動物などが、次年度に購入する予定に変更されたため。 2014年9月頃に動物モデルならびに実験用器具、消耗品などを購入予定である。
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