研究課題
【目的]】Charcot-Marie-Tooth (CMT)病は有病者が2500人に1人と,最も頻度の高い遺伝性ニューロパチーである.現在までに,約50の病因遺伝子が明らかにされている.日本人CMT病では,約半数の病因遺伝子が不明である,特に軸索型CMT病では病因不明例多く、病因頻度,新規病因遺伝子の解明が待たれる.【方法】軸索型CMT病127症例を対象として,既知の病因遺伝子(MFN2,RAB7,TRPV4,GARS,NEFL,HSP27,MPZ,GDAP1,HSP22,AARS,GJB1,PRPS1,LMNA,MED25,OPA1について翻訳領域のエクソンおよびエクソンーイントロン移行部をPCR法に増幅し,直接塩基配列を決定した。さらに,病因不明の劣性軸索型CMT病の2家系を対象とし,genome-wide SNP microarray technology(Ilumina社)を用いた連鎖解析と次世代 sequencer によるエクソーム解析をおこなった.【結果および考察】優性遺伝形式をとるMFN2変異 14例,GARS変異 1例,MPZ変異 5例,GDAP1変異 5例,GJB1変異 6例,PRPS1変異1例を検出した。また、末梢神経障害のほかに視神経萎縮症,難聴,遠位尿細管性アシドーシス,性腺機能低下症など多彩な臨床症状を呈した兄弟例でOPA1の複合へテロ接合変異を検出した.劣性遺伝形式をとる病因遺伝子COX6A1を同定し,2家系にホモ接合変異を検出した。【結論】日本人におけるCMT病では,多くの症例について病因遺伝子が特定されておらず,臨床型,合併症,家族歴等のデータをもとにグループ化し,次世代sequencer などを用いた網羅的遺伝子解析が必要と考える.
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