研究課題/領域番号 |
25870162
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 晃 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20524507)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マントル物質 / かんらん岩 / オスミウム同位体 / 強親鉄性元素 |
研究概要 |
本研究課題では地球内部のダイナミクスに制約を与えるべく、過去(>10億年前)に表層で融解を経験した後に対流マントルの一部と化した「リサイクルかんらん岩」が地球内部にどのように分布しているのかを明らかにする。具体的には、他の海域に比べデータが少ない太平洋域に産するかんらん岩の強親鉄性元素濃度、オスミウム同位体比分析データを系統的に取得し、セッティング/地域差の存在とその起源をオスミウム同位体年代分布を基に検討する。本年度は、ハワイ、サモア、タヒチ産のかんらん岩捕獲岩の粉末試料調整および薄片試料の作成を主に行った。当初は薄片試料を作成せず、鉱物主要・微量元素局所分析はレーザーアブレーションICP質量分析により実施予定であったが、昨年度より東大駒場に設置されたEPMAの調整が順調に進んだため,薄片の作成を行い、現在データ取得を進めているところである。また平行して、伊豆-小笠原-マリアナ-トンガ海溝陸側斜面に露出するかんらん岩-蛇紋岩の強親鉄性元素濃度/オスミウム同位体比分析を行った。従来研究からは、本地域のかんらん岩-蛇紋岩は低いオスミウム同位体比で特徴付けられ、過去の枯渇マントルに富んだ異常な地域とされてきたが、本研究で得られたオスミウム同位体比分布の最頻値は0.125-0.128となり、海洋上部マントルを代表する深海性かんらん岩のデータセットと比べて、特に違いが認められないことが明らかとなった。このことは、同じ地域から得られた試料でも同位体比バリエーションは比較的大きいため、地域差の議論にはデータ量を増やす必要があることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試料調整に関して、当初の予定を変更して薄片作成を加えたため、一部データ取得が予定よりやや遅れている。しかし、全体の進行には支障がない程度の遅れと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は試料調整が完了した試料から順に、強親鉄性元素濃度、オスミウム同位体比分析を同時並行ですすめることで遅れを取り戻す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
ゴールドシュミットカンファレンス(フローレンス)にて発表予定であった内容を、次年度に開かれるレルゾライトカンファレンスでの成果発表に繰り越したため。 一部粉末試料調整が遅れているため、予定していた消耗品の購入、XRF(主要元素濃度)依頼分析を次年度に繰り越して実施するため。 外国旅費:5月にモロッコで開かれるレルゾライトカンファレンスにて成果発表予定。消耗品費:前年度購入しなかった消耗品を購入予定。人件費・謝金:分析補助を増やして(1人x2か月)で前年度の試料調整の遅れを挽回する。その他:前年度予定していたXRF分析を依頼する(英国レスター大学を予定)。
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