研究課題/領域番号 |
25870225
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
稲葉 優介 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 産学官連携研究員 (80379586)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クラウンエーテル / 高分子ゲル / セシウム / ストロンチウム / 抽出分離 |
研究概要 |
平成25年度の研究計画は,セシウム及びストロンチウム選択抽出能を有するクラウンエーテルを文献調査により選定し,ゲル化のための重合性官能基導入の有機合成ルートを探索後,有機化学合成を行い,目的の抽出剤を得ることであった。また,合成した抽出剤を機器分析により構造を同定後,液液抽出法によりセシウム及びストロンチウムの抽出性能の評価を行うことであった。 実際には,文献調査によりストロンチウム選択抽出能を有するクラウンエーテルを選定し,重合性官能基を導入した化合物を有機化学合成により合成した。合成した抽出剤の1H-NMRや赤外分光を測定し,化合物の構造を同定した。得られた抽出剤を用いてN-イソプロピルアクリルアミドと共重合を行い,クラウンエーテル-NIPAゲルを得た。このゲルを用いてストロンチウム抽出試験を行い,合成したゲルがストロンチウム吸着能を有することを確認した。クラウンエーテル-NIPAゲルの合成及びストロンチウム吸着試験は,平成26年度の計画内容であったが,重合性官能基を有するクラウンエーテルのゲル形成能の確認が重要であると判断し,平成25年度に実施した。以上の研究成果は,日本原子力学会2014年春の年会において口頭発表を行った。 今後は,多孔質シリカゲル上でのクラウンエーテル-NIPAゲル合成を行い,得られたゲル担持シリカゲルを用いて,カラムクロマトグラフィーによるストロンチウムの抽出分離試験を行う。また,セシウム選択抽出能を有する抽出剤の合成,抽出試験も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セシウム及びストロンチウム選択抽出能を有するクラウンエーテルに重合性官能基を導入した抽出剤の合成を行う予定であったが,ストロンチウム抽出能を有した抽出剤の合成のみを行い合成方法を確立し,化合物の構造を機器分析により同定した。セシウム抽出剤の合成は,ストロンチウム抽出剤の合成方法とほぼ同一であるため,次年度に合成可能であると考えられる。 抽出剤合成後,液液抽出法により抽出性能の評価を行うところまでが本年度の計画であったが,合成した抽出剤のゲル形成能の確認が重要であると判断し,次年度の計画内容である,クラウンエーテル-NIPAゲルの合成と得られたゲルを用いたストロンチウム吸着試験を本年度に実施した。
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今後の研究の推進方策 |
ストロンチウム吸着能を有するクラウンエーテル-NIPAを多孔質シリカゲル上で合成し,シリカゲル表面に薄膜担持する。得られたゲル担持シリカゲルを用いて,カラムクロマトグラフィーによるストロンチウムの抽出分離試験を行う。また,平成25年度に実施することが出来なかった,抽出剤単体を用いた液液抽出法によるストロンチウムの抽出性能の評価を行う。さらに,ストロンチウム吸着剤と同様の方法で,セシウム選択抽出能を有する抽出剤の合成,抽出試験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は計画通り遂行したが、試薬や実験用消耗品が予定より安く購入できたため。 有機合成化学実験のための,試薬の購入及び実験用のガラス器具の購入を予定している。また,抽出試験において金属イオン濃度を測定するためのICP-AES及びICP-MS等の分析機器用の消耗品やガスを購入予定。 論文投稿費用,英文校閲費用,国内学会発表のための旅費を含む。
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