水稲によるカリウム獲得様式を明らかにするための試験を行った結果、以下の知見を得た。 1)植栽区と無植栽区を設置したプロットスケールでの試験では、水稲によるカリウム吸収に伴って、土壌中の交換態カリウムは穂揃い期まで減少し、その後は増加に転じた。2)より大きな圃場スケールでは交換態画分と熱硝酸可溶性非交換態画分は弱い対応関係しか示さず、前者は有機物含量、後者は粘土含量によって制御されていた。3)室内での栽培あるいは培養試験から採取した試料をカリウム飽和後に酢安と塩酸で連続抽出することによって評価されたカリウム固定容量は、土壌固有の安定な特性値ではなく、生物活動や水田湛水管理の影響を受けて変化した。
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