本研究は,多職種で構成されるチーム医療において,看護職のチーム・リーダーシップがチーム有効性や医療の質評価に及ぼす効果を明らかにするとともに,チーム・リーダーシップが機能する過程を解明しようとするものである。従来の研究では,チーム医療を円滑に機能させる要因について十分に解明されたとは言い難い。特に,医療チームのように多様なメンバーで構成されるチームにおいて,どのようなチーム・リーダーシップが効果的かに関する示唆は少ない。 そこで本研究では、H25年度からH26年度に行った文献検討および研究会等の参加により、43項目からなるチーム・リーダーシップに関する尺度作成を行った。その尺度などについて、医師200名、看護師500名、他職種の医療従事者1000名、非医療従事者500名に対して、Web調査を実施した。チーム・リーダーシップ尺度について,探索的因子分析(最尤法,プロマックス回転)を実施した結果、固有値の推移および解釈可能性の観点を考慮し,固有値1以上の基準で3因子を抽出した(第1因子:サーバントリーダーシップ(α=.95)、第2因子:変革型リーダーシップ(α=.94)、第3因子:PMリーダーシップ(α=.92)。 H27年度はそれまで得られた結果から尺度項目を精緻化し、A大学病院982名を対象に質問紙調査を実施した(回収率:53.7%)。本調査で得られた結果から、現在チーム医療における看護師のリーダーシップと有効性指標(多職種連携等)の関連を詳細に検討している。
|