高齢者の半数以上が原因不明の本態性高血圧症に罹患している。このうち交感神経活動の賦活化に起因する症例は神経性高血圧症と呼ばれている。その動物モデルであるSHRでは、主要な血圧調節中枢である延髄孤束核の異常が高血圧の発症に関与しており、特に炎症性因子など神経機能を調節する分子の異常発現が近年数多く報告されている。したがって、神経性高血圧の発症には神経細胞だけに焦点をあてるのではなく、神経機能を調節するアストロサイトを含む支持細胞の特徴を理解することが重要である。本研究によってアストロサイトの先天的な遺伝子発現異常も神経性高血圧の発症に寄与している可能性が示された。
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