研究課題
本研究では,モーションキャプチャデータや加速度センサデータなどの運動時系列を,力学系理論におけるアトラクタの概念を用いて記号化し,身体動作の共通性や類似性を評価する手法について研究を行うことを目的とした.提案手法では,身体動作の時系列データを相空間上に展開し,形成されるパターンをアトラクタの一種とみなしてモデル化する.されに,モデルの係数を特徴量とした空間(記号空間)を定義し,この空間内で動作の類似性を議論できることを明らかにした.一方で,これまでの検証では振り子モデルや受動歩行モデルから生成した時系列データを検証に用いており,実際の運動データに対する検証は未実施だった.そこで,平成27年度は今までの研究成果を受け,実際の運動データに対して提案する記号化手法を適用するとともに,動作特徴の抽出および個人識別への応用検証を行った.対象動作には歩行動作を取り上げた.歩行動作は,日常生活の中でもっとも基本的な動作のひとつであり,特別な訓練や習熟を必要としない.加えて,同じ「歩く」という動作でも人それぞれに固有の動き方やクセがある.このことから,提案手法を歩行データの特徴抽出に適用したところ,提案手法は,従来のスライディングウィンドウを用いた記号化手法と比較して,個人ごとの運動状態の違いをより鋭敏に検出できる可能性を示した.一方で,歩行中のデータからの周期波形の自動切出しや相空間の次元数選択の課題も明らかとなり,本研究が目標とする技能教育支援への応用展開に向けて,さらなる研究継続の必要性を示した.また,今までに得られた結果,問題点,その解決策を投稿論文や国際会議ICICIC2015にて発表した.
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
ICIC Express Letters Part B: Applications
巻: 7 ページ: 649―656
Proc. of the 2015 ACM Int. Joint Conf. on UBICOMP/ISWC Adjunct
巻: - ページ: 85―88
http://dx.doi.org/10.1145/2800835.2800875
http://is.me.tut.ac.jp/akiduki/pub.html