ほ乳類細胞の酸性オルガネラは細胞内において、細胞増殖シグナルに関わる分子の輸送や分解を担っている。その過程では、複数の膜融合因子からなる複合体がオルガネラの膜同士の融合を制御する。我々はこれまでに、胚の胎盤組織(栄養外胚葉)を特異的に欠失するマウス(Vam8遺伝子欠損マウス)を得ている。 本研究では、コンディショナルVam8遺伝子欠損マウスから栄養膜幹細胞(TS細胞)の樹立を試みた。また、Vam8遺伝子の欠損がTS細胞の増殖を制御するシグナル伝達分子の発現や活性に及ぼす影響について検証した。その結果、Vam8がmTORシグナル非依存的な機構によってTS細胞の増殖を制御していることを見いだした。
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