研究課題
若手研究(B)
本研究はヒト試料を用いる研究であり、久留米大学医療に関する倫理委員会の承認を得て研究を開始した。また、後述のB細胞自体の解析も検討するため、がんペプチドワクチン臨床試験に参加した患者の血液中の抗体を遺伝子レベルでも解析するために、学内医療に関する倫理委員会に加えて新たに生命に関する倫理委員会の承認を得た。患者においてはワクチンに用いたペプチドに対する抗体測定をマイクロサスペンジョンアレイでは随時実施した。がんペプチドワクチン臨床試験では複数種類のペプチドよりペプチドを選択するテーラーメイド型を採用している。表面プラズモン共鳴でのペプチドのセンサーチップへの結合は同一結合条件下では困難であったため、結合条件検討を実施し各ペプチドの結合最適化条件を見いだした。また、pMHC複合体のセンサーチップへの結合についても、通常のカルボジイミド系で直接結合するのではなく、キャプチャー抗体を用いる系を採用した。これまでのところ、ペプチドに対する抗体も2残基程度の抗原のオーバーラッピングのずれも顕著に反応性が異なっていたことから、抗原のアミノ酸配列に対する認識が非常に制限されていることが明らかとなった。また、患者血液中のpMHC複合体に対する抗体は非常に低親和性であり、人工的に作成されたモノクローナル抗体で見られるような強い反応は現在までのところ見られていない。pMHC複合体に対し低親和性の検体についてアフィニティー精製を行うことは困難なため、まずProtein Gカラムでの精製のみ実施した。
3: やや遅れている
がんペプチドワクチン臨床試験に参加した患者の抗ペプチド抗体は、ワクチン投与に伴い増加することが明らかとなっているが、pMHC複合体に対する抗体については未だ不明の点が多い。モノクローナル抗体の解析と異なり、患者血液中のpMHC複合体に対する抗体は低親和性であると考えられ、検討には多くの試料を必要とする。しかしながら、これまでにpMHC複合体に対する抗体が微弱ながら検出された患者の検体の入手が困難となり、新たな陽性検体の探索が必要となった。また、pMHCに対する抗体の検出にはpMHC複合体の準備が必要であるが、ワクチンで用いたペプチドでの人工的なpMHC複合体形成が困難なものもあり、現在のところ、限定したペプチド種のみでしか実施できていない。
pMHC複合体に対する抗体の生物活性の検討のためには、できるだけ強い親和性を有する抗体の精製が望ましいと考えられる。現時点で低親和性ながらpMHC複合体を認識する抗体については今後計画している生物活性の解析を行う。また、これまでに検討を行ったペプチドの種類に加え、別のペプチド種のpMHC複合体についても検討を行う。また、これまでの体液性サンプルからのアプローチに加え、B細胞自体についての解析について検討を行う。
これまでにpMHC複合体に対する抗体が微弱ながら検出された患者の検体の入手が困難となり、新たな陽性検体の探索が必要となった。これまでの検討によりpMHC複合体に対する抗体は予想よりも低親和性であるものが多く、研究材料(血液検体)の有限性から慎重に実験を進めている。また、先述の理由により当初計画していたpMHC複合体によるアフィニティー精製が未実施である。がんペプチドワクチン臨床試験に参加した患者のこれまでに蓄積した検体を用いた探索に使用する。pMHC複合体の種類を変更した探索も実施する。加えてB細胞自体の解析に使用することを計画している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
Developmental and Comparative Immunology
巻: 41 (1) ページ: 68-76
Molecular Immunology
巻: 54 (3-4) ページ: 465-471
Molecular Vaccines
巻: Part IV ページ: 361-369