研究課題/領域番号 |
25871159
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小川原 陽子 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30599626)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | NPM / IDH / AML / 低酸素 / YB-1 |
研究概要 |
正常核型の急性骨髄性白血病(AML)では、核小体タンパク質 NPM の変異(NPMc)に加えて、FLT3 と DNA修飾制御を行う因子(IDH1/2, TET2, DNMT3A)の変異が高頻度に重複しておこる。このうち、IDH1/2変異とTET2変異は同様の役割を果たすと考えられている。我々はNPM+/-の造血系前駆細胞にレトロウイルスを用いて [NPMc、IDH2 変異体、DNMT3A 変異体、FLT3-ITD]の4遺伝子を感染させてマウスに移植すると、全マウスでAMLを発症することを明らかにした。どれか一つを欠く3遺伝子の組み合わせではいずれの場合も発症が著しく遅延したことから、4遺伝子の発現が効率的な発症には必要であることを明らかにした。AMLを発症したマウスの骨髄細胞を用いてマイクロアレイを行い、網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、白血病発症を協調的に誘導することがよく知られているHoxa9とMeis1の発現量が増加していることが明らかになった。In vitroの実験からNPMcとIDH2変異体がそれぞれHoxa9とMeis1の発現を増加させていることが明らかになり、それに一致する結果が得られた。さらに、GSEA(gene set enrichment analysis)解析を行うことにより、低酸素状態および造血系前駆細胞で発現が高い遺伝子群の発現が、4遺伝子によるAMLでも増加していることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の平成25年度の研究実施計画通り、「NPMc-AML発症モデルマウスの作成」を行うことに成功した。その解析は平成26年度に行う予定であったが、マイクロアレイ解析を前倒して平成25年度に行うことが出来た。発症モデルマウスの実験が順調にすすみ多くの実験を行ったため、「NPMcの活性に必須なYB-1の機能解析」を行うことが出来ず、こちらは平成26年度に行うことに予定が変更になった。大きな目標であるNPMc-AMLの発症機序の解明に向けて、おおむね順調に進展したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的に研究実施計画通りに研究を進める。 細かな変更点としては、平成26年度に行う予定だったマイクロアレイ解析は平成25年度に終了しており、そのかわりに平成25年度に行う予定だったYB-1の機能解析を平成26年度に行う。
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