本研究は2004年10月に発生した中越地震を契機に新潟県中越地方に展開する地域復興支援員の経験と知見とを集約・共有・発信し、今後の被災地や中山間地域などの条件不利地域を中心とする人的支援制度の確立に生かすことを目的としている。研究対象は昨年度同様に小千谷市に展開する小千谷復興支援室とした。今年度は前年度に行った支援員の活動展開に関わる資料の検討を踏まえて、地域復興支援員に関わる課題を検討するために小千谷復興支援室に所属する(所属していた)地域復興支援員10名および地域住民3名に対してヒアリングを行った。ヒアリングについては、地域復興支援員事業の継続性(小千谷市・地域住民・前任支援員からの業務引き継ぎ体制)・新規性(支援員導入による新規事業等)・将来性(今後の方向性)・支援の仕組み(支援員に対する地域住民・小千谷市・中間支援組織のサポート体制)・支援者と住民の意識のズレ(期待していたことに関するギャップ)・全体的な活動評価(主観的な全体評価)を主な項目として、支援主体である支援員10名および支援員が担当する各地域住民9名に対して行われた。ヒアリング結果は現在取りまとめ中であるが、支援員および地域住民にいずれにおいても、地域復興支援員事業の評価が高く、震災後の一時的な制度ではなく、恒久的な制度への要望が高い。また、課題については、支援員に対する支援が脆弱である点が挙げられた。ヒアリング結果を踏まえた活動報告書は今年度中に発行予定であったが、取りまとめ時間がかかり今年度中の発行がかなわなかったため、平成27年度中の公表を予定している。
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