本研究では、妊娠期における母親の子どもについての表象が生後1歳半及び6歳の子どものアタッチメントとどのように関連するのかについて実証的検討を行った。その結果、妊娠期において子どもについての表象が「安定型」であった母親の子どもは、「非関与型」や「歪曲型」であった母親の子どもよりも、生後1歳半時点でのアタッチメント安定性が有意に高かった。しかし、生後6歳時点においては、こうした有意差は見られず、妊娠期における母親の子ども表象の長期的予測力は認められなかった。妊娠期における母親の子ども表象が子どものアタッチメント発達に及ぼす長期的影響力については今後さらに詳細に検討を加えていくことが必要である。
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