本研究は山地渓流の河道特性やハビタット(生息場)特性が地質の影響でどのように変化するかを定量的に明らかにすることが目的である。九州中北部の山地渓流において,流域地質が花崗岩,泥質片岩,溶結凝灰岩である合計53地点で物理環境調査(河道測量,ハビタット構成割合,ステップの形状等)を行った。花崗岩は比較的ステップ高が高かった一方,岩盤の露出しやすい溶結凝灰岩はステップ直下流に存在するプールが洗掘されにくいため,ステップ高は高くならなかった。泥質片岩は河川の流れる方向と泥質片岩に発達する片理面の走向の成す角によって河床堆積土砂下層の岩盤構造が変化し,ステップ高に影響を与えていることが示唆された。
|