地球規模で進む温暖化と地域で進む温暖化の両面を考慮したシナリオを作成し、将来主要なコメ生産地となることが期待される東日本を対象に、コメの生育シミュレーションを行った。夏季の平均気温が3℃程度高くなるシナリオを用いると、現在各地で栽培されている品種をそのまま維持した場合、20%弱の増収が期待されるが、高温障害の顕在化も推定された。現在の東日本では冷害が主要な懸念材料であるが、将来においても高温障害より高いリスクとなりうることが明らかになった。将来の安定した収量を確保するためには、現行品種の維持と耐高温品種の導入の両面が東日本全体としての主要な適応策となりうることが明らかになった。
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