研究実績の概要 |
本研究は、様々な生物の細胞表層に展開する複合糖鎖及びリポ多糖を対象とした加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)依存型新規代謝機構の全貌を明らかにすることを目的にした。 本年度は、これら糖鎖の細胞内代謝時の鍵タンパク質として機能するものとして見出した偏性嫌気性菌Bacteroides thetaiotaomicron由来β-1,4-マンノシル-N-アセチルグルコサミンホスホリラーゼと好熱性嫌気性菌Thermoanaerobacter sp. X-514由来の鎖長特異性の異なる2つのβ-1,2-マンノシドホスホリラーゼ、すなわちβ-1,2-マンノビオースホスホリラーゼとβ-1,2-オリゴマンナンホスホリラーゼを含む複数の新規なホスホリラーゼについて、その基質特異性や酵素化学的諸性質を調べた研究成果をまとめて報告した。 また、β-1,2-マンノシドホスホリラーゼ遺伝子の周辺タンパク質に存在し、β-1,2-マンノシドの細胞内輸送に関与する糖結合タンパク質について機能解析を行った。N末端側にヒスチジンタグを付与した組換え糖結合タンパク質を大腸菌により生産し、ニッケルアフィニティークロマトグラフィーにより電気泳動的に均一な精製酵素標品を得た。得られた糖結合タンパク質をカルボキシメチル基が固定されたセンサーチップ上にアミンカップリング法を用いて固定化し、昨年度調製したβ-1,2-オリゴマンナンを含む各種単糖類・オリゴ糖類をアナライトとして、糖結合タンパク質と各種糖類との結合能を、表面プラズモン共鳴装置を用いて解析した。
|