本研究では、植物の季節同調を対象にその仕組みと利用法を研究した。一年草の生育が同調して終了する現象(課題1)、植物の応答が環境の長期傾向に同調する現象(課題2)、植物が感知している環境を推測する技術(課題3)に着目して研究を進めた。課題1では、シロイヌナズナの開花の最盛期が生育終了に先立って同調することを見出した。課題2では、葉で発現するほぼ全ての遺伝子の働きの季節変化についての2年分のデータを公開した。環境の長期傾向に応答する遺伝子の一部で、ヒストン修飾が季節に沿った応答を逆行させない仕組みとして働くことを明らかにした。課題3では、遺伝子発現をバイオマーカーとして植物ウイルスの量を推定した。
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