研究課題
平成28年度の主な研究内容を以下に述べる。・メタン濃度連続解析及びメタン・N2O濃度詳細解析。完新世で最大の北半球寒冷化イベントが起こった約8200年前について、ドームふじコアの連続メタン分析を実施した。WAIS Divideコアのデータとの比較により、ドームふじの気体封じ込めによる空気の年代分布が理論計算結果と整合的である上、フィルン浅部で形成される細かい構造ムラによる変動を見出した。完新世と退氷期のメタン濃度の詳細分析から、北半球の気候変動のタイミングや、古環境プロキシ間の年代比較に必須となるデータを得た。・O2/N2分析と年代高精度化。約6万年から16万年前にかけてのO2/N2を約500年の分解能で測定した、一部の深度について連続詳細分析を実施した。気泡がクラスレートに変化した直下の深度において細かい周期的変動が見られ、結晶方位の集中度との相関が見られたことから、フィルン浅部の水蒸気移動による変態過程または氷化深度以下における結晶成長に伴い気体が分別することが示唆された。・CO2と希ガスの復元。CO2についてはEPICAコアの年代をドームふじコアの年代を用いて修正することにより、モデル計算に必要な時系列データセットを作成した。希ガスについてはWAIS Divideコアの分析およびドームふじコアのデータの解析を進め、最終退氷期におけるクリプトンおよびキセノンの濃度変動を復元した。・数値モデル。気候モデルとオフラインで結合した氷床モデルによってターミネーション1、2、5の再現実験を実施した。その結果、ターミネーション5では夏期日射のみでは北半球大陸氷床の退氷にいたらず、CO2と軌道傾斜の役割が大きいことが示唆された。北半球高緯度の夏期日射の上昇が大きいターミネーション5では、CO2データの年代軸を数千年の幅で前後させても退氷期のタイミングに大きな変化がないことが分かった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (2件)
Science Advances
巻: 3 ページ: N/A
10.1126/sciadv.1600446
Scientific Data
巻: in press ページ: N/A
TBD
Geophysical Research Letters
10.1002/2016GL072212
Journal of Glaciology
巻: 62 ページ: 1037-1048
10.1017/jog.2016.85
Geoscientific Model Development
巻: 9 ページ: 4521-4545
10.5194/gmd-9-4521-2016
Earth and Planetary Science Letters
巻: 440 ページ: 105-114
10.1016/j.epsl.2016.01.034
http://polaris.nipr.ac.jp/~icc/NC/htdocs/
http://researchmap.jp/read0210571/