研究課題/領域番号 |
26241013
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (80124577)
|
研究分担者 |
小林 純也 京都大学, 放射線生物研究センター, 准教授 (30301302)
田内 広 茨城大学, 理学部, 教授 (70216597)
加藤 晃弘 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (70423051)
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | NBS1 / クロマチン・リモデリング / 損傷乗越えDNA合成 / 相同組換え / ドメイン解析 |
研究実績の概要 |
ナイミーヘン症候群は電離放射線高感受性、高発がん性、小頭症を特徴とするヒト劣性遺伝病である。そのタンパク質NBS1はC末側のわずか100アミノ酸領域に修復タンパク質MRE11、ATM、RNF20、RAD18と結合して相同組換え、チェックポイント、クロマチン・リモデリング、損傷乗越えDNA合成を制御する。NBS1は生体維持にとって重要な遺伝子であるので、その遺伝子破壊したマウス(ノックアウトマウス)は胎生致死であることが知られていた。ところが、NBS1のRAD18ドメインをノックインしたマウスは生存可能であることを我々は明らかにしたので、NBS1の特定ドメインのゲノム不安定化と患者の臨床症状発症における役割を解析した。患者の代表的な臨床症状である小頭症の発症機序が不明であったが、マウスを用いた動物実験で小頭症発症に中心体異常が関わっていることを示した(Plos One, 2016)。既に我々はNBS1が中心体維持にNBS1が必要であることを報告しているので、今回の研究により小頭症発症におけるNBS1の役割の解明に近づいたことになる。一方、NBS1のRAD18ノックインマウスを用いた発がん実験は、長期間飼育する必要があるので現在もデータの集積を続けている。 NBS1がRAD18を損傷部位にリクルートするにはPCNAとの結合が重要であることが判明したので、現在そのドメインの解析を続けている。新しい発見としては、NBS1が相同組換え修復と促進だけでなく、阻害にも機能していることが明らかになった。つまり、NBS1は相同組換え修復をpositiveとnegativeの両面で制御していることになり、国際的に注目される研究成果になると予想される。また、NBS1のC末側に非相同末端再結合に関わるドメインの発見も本研究実績としてあげられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7報の英語論文を報告し、その中にはナイミーヘン症候群患者の小頭症発症の機序に関わる成果(Plos One, 2016)を上げることが出来た。また、NBS1が相同組換え修復をpositiveとnegativeの両面で制御するなど今後の発展が有望視される幾つかの新知見を得ることが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
研究目的に沿った着実な研究成果を上げると共に、新知見をさらに掘り下げて高いレベルの研究成果を目指す。
|