研究課題/領域番号 |
26257002
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大月 康弘 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (70223873)
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研究分担者 |
加藤 博 一橋大学, 名誉教授 (10134636)
亀長 洋子 学習院大学, 文学部, 教授 (40317657)
澤柳 奈々子(村田奈々子) 東京大学, 教養学部, 講師 (60647436)
堀井 優 同志社大学, 文学部, 准教授 (70399161)
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 教授 (80328640)
竹中 克行 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (90305508)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地中海 / 海外調査 / ギリシャ / エジプト / アラブの春 / 金融危機 / 民衆運動 / EU |
研究実績の概要 |
ギリシャで発生した金融危機とエジプトにおける民衆運動について、歴史的見地を含めて調査・研究した。インフォーマントへの取材を行い、得られた情報の整理をするとともに、政府発表の公式統計データ等との突き合わせを行い、彼らの行動規範をネットワーク論の立場から考察した。ギリシャ、エジプトの社会・経済変動過程にあって人びとが取った行動パターンは、ローカルであるとともに国外に広がるグローバルなものであることもあった。われわれは、彼らが近代国家の枠を越えた世界観をもち、家族や地域共同体の紐帯のもとに、個人的な、ないし家族的なネットワークで行動することが多いとの認識(仮説)をもつに至っている。 現地調査は、8~9月期を中心に、インフォーマントへの面談を主体として実施している。夏期以外でも、通信手段を用いて連絡を取るよう努めた。また、現地の研究協力者による情報収集も行った。現地で収集した文献情報は、国内研究で研究分担者各自により分析された。 11月には、現地研究協力者でもあるシャプトー教授が来日し、チュニジアで行われた総選挙が、アラブ諸国に与える影響、またIS(「イスラム国」)問題についての講演会を開催した。これには、研究分担者のほか、国内から関連研究者、ジャーナリストが参加し、多面的な意見交換をする貴重な機会となった。 一連の研究成果を、欧文論集 Mediterranean World 22 として刊行すべく、現在準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、研究分担者とも、ほぼ支障なく研究活動を実施することができた。エジプト班の研究分担者は、夏と春に現地に赴き、これまで関係を構築していた現地インフォーマントと接触して、聞き取り調査を行った。また、現地の公式統計資料等の収集に努め、現地の現況についての情報整理を行った。ギリシャ班のメンバーは、全員が現地に赴けたわけではないが、資料の収集・分析を行い、またインターネット等の通信手段と現地の研究協力者の助力を得て、インフォーマント情報を収集した。 現地情勢は、なお安定しておらず、今後も継続的な情報収集に努める必要がある。政情不安定になる可能性も排除できないが、その可能性もが調査対象であり、平成26年度にあっては、これまでの「政情不安定期」における現地インフォーマントの行動に関するデータから今後に起こりうる「変動」への予測も議論した。 インフォーマントたちの行動が、国外にも及ぶところから、ギリシャ、エジプト外との接触の実相を、インフォーマントが接触をもった相手側の聞き取りを通じて確認したかったが、それは平成26年度はできなかった。その限りでは、平成26年度の実績は、現地インフォーマントから取材した情報に限定されたもの、との評価になろう。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究計画に沿って活動を実施する。ギリシャもエジプトもなお政治経済的に安定したとは言いがたい。この「変動」過程、またその中での現地の人びとの行動について、引き続き情報収集することに努めたい。 平成27年度以降も、26年度と同様のスケジュールで現地調査を行う。また、現地等で収集した文献、統計データの分析を、国内での研究作業課題とする。 27年度中に、成果の中間報告を盛り込んだ欧文の論集 Mediterranean World 22 を公刊する。これには、海外(ギリシャ、エジプト、イタリア、チュニジア、モロッコ等)の研究協力者よりの寄稿も収録する。 なお、27年度末(2016年3月)に、ギリシャの研究協力者ヴァイオプーロス氏の尽力により、同国コルフにて国際ワークショップを開催する。ここでは、地中海周辺諸国の研究協力者をも集めて、研究代表者・分担者・協力者が一同に会し、関連テーマで研究成果の中間的報告を行う。
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