研究課題/領域番号 |
26280121
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
倉田 敬子 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50205184)
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研究分担者 |
上田 修一 立教大学, 文学部, 教授 (50134218)
松林 麻実子 筑波大学, 図書館情報メディア研究科(系), 講師 (10359581)
三根 慎二 三重大学, 人文学部, 講師 (80468529)
酒井 由紀子 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (40709466)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学術コミュニケーション / オープンサイエンス / 研究データ / オープンアクセス / 電子ジャーナル / 研究プロセス / デジタルの読み / 新しい論文形態 |
研究実績の概要 |
デジタル化とオープン化を踏まえた学術コミュニケーションの特性に関しては,以下の調査,研究を行った。 (1)科学技術,社会科学,人文学の全分野のオープンアクセス化状況を,Web of Scienceの2013年度のデータから無作為抽出した論文約2000件について,Google ScholarとGoogleでオープンアクセスとして入手できるかどうか,できる場合はその手段の調査を一応終了し,現在データの最終確認中である。(2)学術電子ジャーナルの新しい形態に関する調査として,JCR2013でIFが上位25%の雑誌から無作為抽出し,調査を行う研究者の所属機関で閲覧可能な雑誌1000タイトルについて,論文の読みのナビゲーションのあり方,他の情報源へのリンク,付加的情報や印刷では表現できない情報の提供についてなどの調査を実施した。(3)過去の調査で研究者がトップジャーナルと考えていた学術雑誌51誌の,編集委員会における日本の位置を知るために,1980年~2015年の国別編集委員の調査の基礎とする編集委員のデータベースの作成を進めた。基本データは収集したが所属機関の確認,国の分類基準の作成をこれから行う。(4)日本人の情報検索能力を測定するための質問紙(45問)を作成し,オンライン調査を1551人に対して実施した。全般的な能力の不足,高度な能力を持つ人々の特性,能力に関係する要因を明らかにした。学会発表を行い,現在論文を執筆中である。 データ共有と研究活動のデジタル化については,(1)研究データのオープン化,オープンサイエンス推進に関する国内,国際動向について調査し,情報を共有した。(2)日本の科学技術政策における研究データ関連の施策を整理した。(3)Digital Humanitiesでなされているデータ共有を実践しているプログラムのリスト化と基本情報の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究計画の2本柱としている学術コミュニケーションのデジタル化とオープン化の動向については,平成26年度に予定していた以上のスピードで調査計画,データ収集,基本的調査を終了させることができた。平成27年度に実施予定であった調査もすでに着手しているものがある。 もう一つの柱であるデータ共有と研究活動のデジタル化については,「データ共有に関する日本人科学者の意識」についての論文の投稿受付および査読に時間がかかっておりまだ掲載にいたっていない。そのため,次の段階の共同研究の実践に関するインタビュー調査は計画段階で実査に進めていない。オープンサイエンスおよび研究データのオープン化については,日本を含めた国際的な新しい動きが急激に進展したため,その動向の把握と分析にかなり時間がとられてしまい,オリジナルな調査研究の実施まで進めなかった。 片方は予定以上に進み,片方では社会的,政策的事態が変化したため,全体の大きな目的は変わらないが,実際に調査を行う順番や対象に関しては計画を再検討する必要性が出てきている。これらの点を総合的に判断するなら,おおむね順調な進展といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,予定が遅れているオープンサイエンス,研究データの調査,研究について,動きが急な国際的および日本の動向を踏まえた上で,最も時宜にかなった調査,研究を行えるように再検討を行いたい。 (1)まずは既にインタビューを行うなど準備が進んでいる,木簡研究のための各種データベース構築プロジェクトを取り上げ,その研究プロセスとデータ共有のあり方を詳細に調査する。(2)同時に,地球観測研究など最先端のデータ共有がなされているといわれるプロジェクトへのインタビュー調査を行う。(3)データジャーナル,データアーカイブなど既に蓄積,共有がなされている研究データの分析から,データディスクリプションの標準化とガイドラインの方向性を考える。 学術コミュニケーションに関しては,昨年度調査に着手したものを早急に終了させ,分析,論文化を行う。今年度に関しては,新たに(1)学術論文に関するTwitterでの言及の調査,(2)研究助成の実態と成果論文との関係について調査を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
これ以上の支出は,助成金の使用できる経費の総額を超えてしまうため,23円だけ翌年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
23円は次年度の予算に組み入れて使用する。
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