研究課題/領域番号 |
26280125
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
丸川 雄三 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (10390600)
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研究分担者 |
水谷 長志 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 情報資料室, 主任研究員 (50181889)
川口 雅子 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (70392561)
田中 淳 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 企画情報部, 部長 (00163501)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文化財情報発信 / 文化遺産オンライン / 制作者データベース / ULAN |
研究実績の概要 |
本研究は、文化財における制作者情報を対象に、これまでばらばらであった専門機関内の情報源をひとつにまとめて発信する「制作者情報統合データベース」の実現を目的とするものである。情報源として国立西洋美術館と東京国立近代美術館よりデータベースと目録・展示・図録資料を、東京文化財研究所より作家年鑑・論文・文書などの美術研究資料を集める。これらの資料をデジタル化技術とデータベースの連携技術、さらには国立情報学研究所が開発する横断的連想検索技術により集約・共有するとともに、専門的な知見をふまえた情報の分析と統合を実施する。研究成果は統合データベースとして発信し、全体的な有効性の確認として、我が国における代表的な文化財情報発信ウェブサイトである「文化遺産オンライン」との連携実証を行う。 平成26年度の研究成果は以下の通りである。 1.制作者情報について、国立西洋美術館の収蔵品データベースから446件、東京国立近代美術館の収蔵品データベースから2,200件の作家情報を抽出した。また、東京文化財研究所の美術研究資料として、講談社『近代日本美術事典』に収録されている1,252件の作家解説情報を収集するとともに、同研究所が戦前から行っている制作者へのアンケート調査原簿(作家調書)1,200件のデジタル化およびメタデータ付与を行い、一次情報資源としての活用方法を検討した。 2.情報基盤について、各機関で抽出、作成した作家情報を元にデータベース項目の検討を行い、データベースのプロトタイプを構築した。さらに制作者情報を試験的に登録し、情報検索や分析が可能な統合データベースとしての有効性を確認した。また、美術文献検索「アート・ディスカバリー」や、欧州のアーカイブズポータル「ヨーロピアナ」の動向を調査し、文化遺産オンラインおよび海外の美術情報サービスとの連携に必要な要件ついて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
制作者データについて、研究代表者と研究分担者の間で緊密な連携と検討を重ねることにより、目録情報のみならず作家解説や一次資料にまで踏み込んだデータの収集と分析が進んでいる。また統合データベースについて、海外の美術情報サービスの動向などを参考に要件を検討するとともに、システムの開発にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者と研究分担者が引き続き相互の連携を維持し、収集した資料の分析と検証および「制作者情報統合データベース」のシステム開発を行う。開発に際しては、複数の情報源から一人の制作者情報をまとめあげる「名寄せ」など、制作者情報分析に関する要素技術の研究開発を実施する。また各機関における制作者データについて、引き続き調査検討と収集を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
「直接経費次年度使用額」の2,275,330円は、平成26年度には「統合データベース」が開発途中であったため、要件を検討するための動向調査費およびシステム開発費として次年度使用の費用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
「統合データベース」開発のための美術情報サービスの動向調査およびシステム開発費として使用する予定である。
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