研究課題
過去の気候変動に関する要因推定が、気候モデルの物理パラメータの値にどの程度依存するかに関しては、これまで殆ど調べられてこなかった。また将来予測のパラメータ不確実性に関しても、十分な知見は得られていなかった。本研究では、昨年度に引き続き、大気海洋結合モデルMIROC5を用いて、対流過程、雲過程、硫酸性エアロゾル、炭素性エアロゾルなどの物理パラメータに摂動を与えた上で、過去の気候変動要因を切り分ける実験(全外部因子、温室効果ガス、太陽+火山活動の寄与を切り分ける実験)と、将来予測実験を行った。それぞれ14組のパラメータセットを用いて、異なる初期値から始めた3メンバづつのアンサンブル実験を積分した。過去の要因切り分け実験のデータを分析することで、過去の世界平均地上気温変化のパラメータ不確実性に関しては、エアロゾルの気候応答のパラメータ不確実性の寄与が最も大きいことがわかった。さらに将来予測実験を分析することで、エアロゾル気候応答のパラメータ不確実性は減少する一方で、温室効果ガス気候応答のパラメータ不確実性が増加することがわかった。過去の気候変動要因を分析する切り分け実験と、将来予測実験の物理パラメータ不確実性を分析する実験は、世界的にも非常に珍しく、気温の変化に関するパラメータ不確実性に関する新しい知見が得られた。今後は、降水量や極端気象現象などの気候変化に関するパラメータ不確実性を明らかにしていくことが期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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