研究課題/領域番号 |
26282010
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
高増 雅子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20120769)
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研究分担者 |
天野 晴子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50299905)
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60017241)
飯田 文子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60160826)
望月 一枝 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (60431615)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ラオス / 学校給食 / 食教育 / 女性支援 / 教材研究 / ワークショップ |
研究実績の概要 |
2016年度は、ラオス国の教育行政官を招聘し、現場視察を組み合わせながら意見交換及びワークショップ、研究会を開催した。招聘期間は2016年6月5日~6月10日で、①日本における女性の自立支援や学校給食の現状視察を含めた研究会の実施、②期間中の6月9日に、本学において「ラオスにおける女性と教育」「ラオスにおけるスクールランチ事業の現状と課題」というテーマでの公開講演・ワークショップを開催し、共同事業の報告等を行った。一連の過程を通しさまざまな観点と多様な事柄が明らかになった。 ラオス人民民主共和国政府は、2030年に向けて、社会経済的発展、若者の中等教育の充実、市民の公衆衛生と平均寿命の向上を目標に取り組みを進めている。改善したいことは、地方や遠隔地におけるジェンダー不平等、教育指標の見直し、低栄養状態である。結果として、給食事業は、小学生の身体の発達、学力向上、入学率、進級率と卒業率の上昇、退学率と休学率の低下に寄与した。さらに、男女の差別の低減および授業機会の平等、事故や火事などの危険発生率も減少した。その他、親の仕事時間の増加、生徒の欠食率低減などの食習慣の確立にも貢献することが確認された。今後の課題は、水の確保(現在42.5%の学校で不十分)、学校での栽培、養殖、飼育技術向上がある。 学校給食では、政府と開発パートナーが支援を要請し、2009年から2013年の子どもの健康状態改善に効果的に影響を及ぼしている。学校給食に地元の文化や食材を用いたこと、学校菜園と小動物飼育、地域農業の促進、管理や栄養や栽培技術の能力向上、研究と栄養のモニタリング、情報の共有、地元の様々な人や制度との協力の促進、政府によって配分される予算計画などが有機的に結びついて効果をあげた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度より進めてきた、ラオス国山間部での学校給食支援を中心とした活動により、児童の学校生活改善の他に、地域社会における男女の支援、コミュニティの健康改善、個人が人生の選択肢をより多く持つことを可能にすることに、現在取り組んでいる。ジェンダー平等教育は、社会的基準の明確化、経済的支援、インフラ整備、民族の多様性の尊重によって進められている。女性同盟は、教職員と地域の人々と共に学校給食を支える役割を担い、法律、政策、プロジェクトなどの立法におけるジェンダー平等の主流化、奨学金、学校給食プログラム、教育における女性のクオータ制度、ジェンダー平等とインクルーシブ教育など、教育のシステム全体への貢献も大きいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度より学校給食を主軸に支援活動を行ってきたが、今後の展開としてラオス国内の複数候補地でのセミナー及びワークショップの開催を強く要請されており、2017年度中に実施に向けて調整・計画中である。また、この成果をアジア家政学会にて発表し、今後他の途上国支援にも、普遍的に行えるような教材を提供できるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度、ラオスでの支援活動及びワークショップを開催する予定のため、2016年度はラオスへは渡航せず、ラオスの学校給食関連の行政の担当者のみ、日本へ招聘したため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年10月にラオス北部の教員養成機関で、1週間程度の講習会を開催するとともに、再度ワークショップを開催する予定。前回のワークショップで、学校給食に関する教材への要望が強かったため、今回は、20校くらいには教材セットが配布できるように、用意する予定である。
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