研究課題
ヒスチジンは、ヒスタミンの基質であり、中枢神経ヒスタミン作用を介して摂食抑制を誘導することが明らかにされている。また、ヒスチジンは、血糖値の増加と逆相関することが知られている。しかし、ヒスチジンによる血糖調節メカニズムは明らかにされていなかった。研究代表者らの検討から、ヒスチジン投与による血糖値減少作用が肝糖産生の抑制に起因することが明らかになった(Diabetes, 2013)。肝糖産生は、血糖値と密接に関連しており、その増加が2型糖尿病・インスリン抵抗性の誘因に、その減少が耐糖能異常を改善することが知られている。肝糖産生は、肝臓へのホルモンの作用により調節されるとともに、中枢神経作用から迷走神経を介したメカニズムによっても制御を受けている。研究代表者らは、ヒスチジンによる肝糖産生抑制作用が、中枢神経におけるヒスタミン作用、特にヒスタミンH1受容体依存性のメカニズムを介することを見出している。これらの知見は、ヒスチジンのような摂食抑制系アミノ酸の耐糖能改善作用は、食生活改善の標的となりうると考えている。しかし、ヒスチジンの抗耐糖能異常食材としての有用性を解明するためには、ヒスチジンの耐糖能異常の改善効果、特に肝糖産生抑制作用についての、より一層の詳細な解明が必要である。そこで、本研究課題では、ヒスチジンによる中枢神経性肝糖代謝メカニズムの解明を実施した。中枢神経ヒスチジン作用は、肝臓IL-6/STAT3シグナルを活性化し、肝糖新生系酵素の遺伝子発現を抑制する。今回、我々は、迷走神経が、クッパー細胞α7型ニコチン性アセチルコリン受容体を介して、肝臓IL-6/STAT3シグナルを抑制すること、さらに、中枢神経ヒスチジン作用が、迷走神経活動を抑制することにより、肝臓IL-6/STAT3シグナルを活性化することを見出した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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