研究課題/領域番号 |
26284021
|
研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
高橋 悟 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (30515515)
|
研究分担者 |
建畠 晢 多摩美術大学, その他部局等, その他 (50125217)
篠原 資明 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 名誉教授 (60135499)
牧口 千夏 独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館, その他部局等, 研究員 (90443465)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 芸術 / 記譜 / 身体 / 言語 / イメージ / 空間 / 記録 / 記憶 |
研究実績の概要 |
本研究は、読む、書く、視る、聴くという従来の諸ジャンルに固定された「鑑賞形態」、歴史的文脈内における「作品」、「作者」概念や「資料体・集蔵体(アーカイブ)」の場を転移し、「創造的誤読」へと導く新たな理論と制作の実践を目論むものである。具体的な研究例として、本年度は、大学移転プレ事業の一環として開催した「still moving:on the terrace」展(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、2016年4月16日から5月29日)について報告する。「terrace」というコンセプトを函数として既存のギャラリー空間の誤用としての「読み替え図・記譜」(例えば、吹き抜けスペースは会議室、階段は劇場、可動壁面はホテルなど)を作成し、これを参加メンバーに割り当てた。これら図・記譜は、必ずしも固定化したものではなく、誤読も可能である。例えば、エレベーターとトイレを展示室に、可動壁をホテルに誤用するという指示であったが、制度の文脈とも重ねるために、エレベーター=学長室=工具箱、可動壁=芸術資料館、トイレ前のホワイエ=崇仁アーカイブズ(崇仁祭りのお囃子の譜面を壁紙にし、その前を崇仁小学校に設置されていた二宮金次郎像の複製が徘徊する。)へと誤読するなど。通常の展覧会におけるキューレーション、会場構成、作品配置とは異なり、従来の役割分担(キューレーション、デザイン、作家、事務職など)の「誤配」による不安定な場の生成が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジャンル横断的な創造の媒介装置として記譜概念を捉え直し、多様な手法によるアウトプットの実験という意味で進展があった。留意する点は、「未完の記譜」プロジェクトそのものの、記録方法そのものについての創造的なアップローチ方法の確立である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度は、「芸術経験を前提とした「作品(Art Works)とその記録(Documentation)」という関係にではなく、ヒト・モノ・状況との相互作用とその形成のプロセスの提示に重心を移動させる脱芸術実践であり、日常的な生の文脈へ直に接続することを目指したプロジェクトを推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終プロジェクトの開催を予定していた京都市内の建築物の使用が困難となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
現時点では建築使用の申請許可を得ることができたので、計画にそって進める。
|