研究課題/領域番号 |
26284046
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
山口 裕之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40244628)
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研究分担者 |
和田 忠彦 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50158698)
松浦 寿夫 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60219384)
沼野 恭子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60536142)
前田 和泉 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70556216)
西岡 あかね(秋元あかね) 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30552335)
吉本 秀之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90202407)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アヴァンギャルド芸術 / 知覚論 / 表象文化論 / 技術論 |
研究実績の概要 |
本研究においては、技術と知覚の相互関係に対する視点を、とりわけ20世紀アヴァンギャルド芸術へと敷衍することを目指している。初年度となる平成26年度では、そのために「 I. 研究のコンセプト・方法論・理論の確認と共有化」を行うとともに、「II. 個別グループでの研究」を研究推進の軸として設定していた。「 I. 研究のコンセプト・方法論・理論の確認と共有化」に関しては、4月にまずこの科研の研究メンバーが集まり、研究のコンセプトと計画の具体的進行についてあらためて確認を行った。ここでの方向性に基づいて、ドイツ(山口・西岡)、フランス(松浦)、イタリア(和田)、ロシア(沼野・前田)、超領域的視覚文化(吉本)において各領域・分野の研究を進行させるとともに、アヴァンギャルド芸術におけるパラダイム転換を文化横断的にとらえるための理論的考察を進めていった。9月に行った第1回ワークショップでは、前田和泉「逆遠近法と複数のリアリズム」、西岡あかね「ドイツ語圏におけるアヴァンギャルドの理論と概念史」の二つの発表に基づいて、研究メンバーが論議を重ねたが、これはこういった理論的連関を検討していく上での重要な作業となった。 また、「II. 個別グループでの研究」としては、山口が所長を務めている東京外国語大学総合文化研究所のさまざまな研究とコラボレーションを行うかたちで、各研究メンバーが個別の媒体で成果の発表をおこなった。(山口裕之「アヴァンギャルドの身体性――モダニズムにおける知覚の変容をめぐる序論的考察」、沼野恭子「衣服の二重性 またはラーマノワの挑戦」など。)また、3月に行われた第2回のワークショップでも、各メンバーの研究成果が示された。(松浦寿夫「感情のインフラストラクチャー」、和田忠彦・横田さやか「未来派研究史――戦後から2014年までのイタリアにおける未来派批評の変遷」)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画として設定していた「 I. 研究のコンセプト・方法論・理論の確認と共有化」および、「II. 個別グループでの研究」のそれぞれについて、実質的な研究を進め、それを成果としてかたちにできていると思われる。具体的には、Ⅰについては第1回目のワークショップ「アヴァンギャルドの諸相01」(東京外国語大学総合文化研究所)での二つの発表(前田和泉「逆遠近法と複数のリアリズム」、西岡あかね「ドイツ語圏におけるアヴァンギャルドの理論と概念史」)に基づく理論的基盤に関するディスカッションを行い、Ⅱについては、各研究メンバーがそれぞれの文化圏における研究をさまざまな媒体で発表した。当科研プロジェクトは、東京外国語大学総合文化研究所の研究とコラボレーションさせるかたちで進められ、2回のワークショップおよびメンバーの論文(山口・沼野)はそういった共同研究の成果である。
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今後の研究の推進方策 |
研究プロジェクト2年目となる平成27年度は、全体的な問題設定に基づいた個別の研究を進めるとともに、年度末に予定している国内研究者を中心とするシンポジウムを目指して全体の研究をさらに収束させてゆくことを基本的に目指す。そのためには、各メンバーにおける研究とともに、それぞれの文化圏での研究者グループによる研究、そして3年目に行われる国際シンポジウムのために研究者ネットワークをさらに活発なものとすることを想定している。イタリア、ドイツ、ロシアの各研究協力者を中心としつつ、そこからさらにネットワークを広げていくことはこの研究プロジェクトにとって非常に重要な意味を持っている。 また、初年度同様に、東京外国語大学総合文化研究所(所長は研究分担者・和田忠彦が担当)との研究上のコラボレーションを引き続きおこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画で予定していた海外出張が、研究代表者・分担者のかかわる他の研究プロジェクト(「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」)による研究者交流が可能となったことや、研究分担者が申請した科研で研究代表者となることができたために、この科研費による海外出張が実質的に減ることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の研究では、予定していたよりも書籍の購入がかなり積極的に進められたため、次年度使用額となった892,245円については主に図書購入のためにあてる予定である。この規模の金額であれば、図書予算の追加分としては妥当である。
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