研究課題/領域番号 |
26284130
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
山本 充 専修大学, 文学部, 教授 (60230588)
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研究分担者 |
中川 聡史 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10314460)
伊藤 徹哉 立正大学, 地球環境科学部, 准教授 (20408991)
飯嶋 曜子 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (20453433)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 農村 / チロル / EU / 人口 / アメニティ・マイグレーション / ルーラル・ジェントリフィケーション / 滞在型観光 |
研究実績の概要 |
EUの周辺農山村における人口流入とその農山村地域への影響を評価するために、オーストリア・チロル州を取り上げた。チロル州全体において、短期の滞在から移住に至るまでの多様な来訪者の動向と行動、ならびにその影響について、滞在の拠点となる集落の機能強化を中心に把握することを試みた。 チロル州においては、観光客数、宿泊数ともに伸びてはいるが、個々の観光客の滞在期間は短くなっている。一方で、別荘が増加し季節的な長期滞在者が増え、かつ、チロル域外からも含めた移住による定住者も増加する傾向にある。来訪者のの行動をみると、その宿泊施設内における健康増進活動、集落における文化活動、そして周囲の山地における多様なスポーツ、そこを超えた小旅行と、ひとところに居ながらにして、多様な活動を行っている。同時に、ゴンドラの改良などにより、活動の範囲が広がっただけでなく、より多くの来訪者、そして高齢者を含むより幅の広い層が訪れることができるようになることで、利用の強度も高まった。 こうした来訪者の増加は、滞在の拠点である集落における商業・サービス機能の集積を助長することとなる。場所によっては、高級な装飾品を売る店や、高級なレストランの立地がみられ、アルプスの山中にありながら、中心性の高い高次の中心地が出現し、高級感をもつ商店街として表出するところもみられた。持ち家、別荘、ホテルやペンションにおける施設の質的向上と設備付加もまた、質の高い外観として表れているが、そこでは、地方色が喪失し、景観の均質化が進行しているといるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EUにおける周辺農山村への人口流入とその影響に関する従来の研究を展望するとともに、オーストリア・チロル州におけるそれらの状況を統計資料および現地調査に基づいて概観することができた。これらの作業に基づいて、次年度において詳細な調査を行う事例地域を選定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、チロル州の事例地域において、人口移動の動向、居住の実態、住宅建設の進展、建築様式の変化、利用傾向を把握するとともに、こうした人口・居住変化に対する行政・民間団体の対応、そして、地域中心地における商業、サービス業などの非農業的機能の立地を把握することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研究分担者による海外出張を伴う調査が、大学の異動などの事由により実施することができなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
過年度において実施できなかった海外出張を伴う調査を実施する。
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