研究課題/領域番号 |
26285019
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
今井 猛嘉 法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
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研究分担者 |
仲 真紀子 北海道大学, 文学研究科, 教授 (00172255)
白取 祐司 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10171050)
木林 和彦 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20244113)
田中 利幸 法政大学, 法学部, 教授 (60114980)
松村 良之 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (80091502)
尾形 隆彰 千葉大学, 文学部, 教授 (80125913)
城下 裕二 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90226332)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 危険運転致死傷罪 / 危険運転と行政刑法 / 法と心理学 / 法医学 / 量刑理論 / 裁判員裁判 |
研究実績の概要 |
研究の1年目では、危険運転の制御を目指す諸方策を概観し、問題点を整理した。各分担者の研究成果は、年度末の研究集会において報告し、相互の検証を行った。 具体的な研究活動としては、自動車運転死傷行為処罰法の成立を受けて、そこで再整理された危険運転致死罪(関連規定)の概要が検討された。同罪は、従来のそれ(刑法典に規定されていたもの)を前提としつつ、適用範囲を広げたものである。これは、刑法、行政刑法の観点から、危険運転の制御にとって有効なものと思われるが、関連規定の適用に際しては、犯罪成立要件の厳格な解釈が必要であることも、確認された。 同罪の成否は、裁判員裁判において争われるので、裁判員裁判に特有の問題(裁判員の心理的な対応を踏まえた、刑罰規定の厳格な解釈、適用)が同時に問われることも、確認された。この課題に対応するには、被害者(危険運転致死罪による被害を受けたと思われる者)の死傷の状況を客観的かつ医学的に検証することが前提となる。そこで、交通事故と法医学の観点からのアプローチを、引き続き重視していく必要があることも、確認された。同時に、裁判員裁判における量刑の動向(被害者の処罰感情の高まりから、量刑が、非・裁判員裁判の場合と比較して、重くなりやすいという傾向の当否等)も、併せて確認された。 これらの、本研究に関わる課題は、各分担者が専門的に研究している問題であり、今年度においても、その新たな研究の進展が認められた。そこで、2年目において、これらの課題(刑事法的規制の適正性、裁判員裁判と法心理学、法医学、および量刑理論)のより具体的な検討をめざし、検証対象の再確認がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の1年目においては、危険運転の最適な制御を目指すべく、危険運転の現状、これに対する法的規制の最新状況、および、これに係る関連(重要)事項の確認と問題点の解明が目指された。こうした、概括的な問題点の掘り起こしと確認は、様々な研究領域を専攻する分担者の参加と積極的な貢献により、順調に推移していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の2年目においては、1年目の成果を踏まえ、確認された問題点の更なる分析が試みられる。具体的には、危険運転致死罪の運用例を検討することで、刑事法的規制と行政(刑)法的規制の相互関係の分析、裁判員の対応を通じて、その心理的負担の実情と対処策、裁判員裁判を順調に実施する基礎となる客観的な証拠(法医学的所見に基づく分析結果)並びに主観的証拠(供述の評価)の評価方法、および、量刑の状況を、自動車運転死傷行為処罰法の制定前のそれらと比較することで、分析する。これにより、本研究の目的に沿った検討の継続が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度において購入を計画していた研究用図書の出版が遅れたため、その購入用に確保していた金額の執行が同年度中にできないことに至ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた研究用図書の出版を待って、速やかにこれを購入し、研究に活用することにしたい。
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