研究課題/領域番号 |
26285086
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上林 憲雄 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00243296)
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研究分担者 |
平野 光俊 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10346281)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ワーク・ライフ・バランス / グローバリゼーション / 日本的経営 |
研究実績の概要 |
日本企業における新しい人的資源管理システムがどのような構造を持っており,どういった変化の方向性を志向しているかについて,主として研究代表者(上林)が検証を行った。その結果,グローバル市場主義のますます進展する下で,多くの日本企業では,ワーク・ライフ・バランス施策が実施されているものの,その多くは日本という国のコンテキストに配慮したものになっておらず,欧米で行われている量的施策の模倣であることが明らかになった。今後は,労働の質的側面を重視した日本型ワークライフバランスシステムの構築が期待される。 また,研究分担者の平野らにより,ワーク・ライフ・バランスを「仕事と家庭の対立」と捉えるの ではなく「仕事と家庭は相互に質を高め合う関係」と捉える研究が日本でも注目されはじめたことを確認した。これらをポジティブ・スピルオーバー、エン リッチメント、ファシリテーションといった新しい概念に基づき、整理している。仕事で獲得されたスキルが家庭で応用される場合や、仕事の有意味感・充実感などよい感情が家庭に伝達されるケースを想定し,仕事の有意味感や充実感を心理的エンパワーメントとして捉えることにより、1)上司の変革型リーダーシップは部下のワーク・ライフ・バランスに影響を与えるか、2)心理的エンパワーメントは両者をつなぐ媒介効果を持っているかについて、質問票調査で検証した。結果、上司の部下に対するポジティブな承認は、部下の仕事の意義(有意味感)を高めることにつながり、そのことがワーク・ ライフ・バランスの実現にポジティブに作用することが分かった。上司の変革型リーダーシップと心理的エンパワーメントが働く人びとのワー ク・ライフ・バランスによい影響を与える有力な概念となりうることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グローバル市場主義の進展に伴う日本型人的資源管理システムの変化のうち,とりわけワーク・ライフ・バランスの側面について,かなりの程度,(部分的には当初の予測以上に)研究の進展がみられる。他の側面についても,ほぼ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
日本学術振興会産学協力研究委員会経営問題第108委員会とも連携しながら,グローバル市場主義進展下の日本型経営の在り方,構造と過程について,随時,研究を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画のうち,一部で予定していた額よりも低価格の物品等が含まれていたため,次年度繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越になった分については,主として旅費に充当させ,適宜利用する予定である。
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