研究課題/領域番号 |
26285093
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
安田 雪 関西大学, 社会学部, 教授 (00267379)
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研究分担者 |
生稲 史彦 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10377046)
東 正志 京都文教大学, 総合社会学部, 特任講師 (20436497)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ネットワーク / ブランド / 京都 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,京都府及び滋賀県に本社をおく上場企業についてのデータを収集、非公開データベースとして整えた。また、研究提案当時には、当該地域におけるBTC(Business to Customer)ブランドを主軸とした検討のみを想定していたが、その理論的枠組みを超えたあらたな検討枠組みとして、BTB(Business to Business)ブランドの構築についての仮説及び理論モデルを検討する必要性を明らかにした。 同時に、既存の学術出版物、マスメディア出版物ならびに事業所データベース等の利用から得うる情報をさらに超えた文献収集の必要性を確認し、京都老舗企業に関する、古書(絶版書)を含む文献収集を開始した。これらの文献データを精査しつつ、当該地域の人間関係についての理論的検討を進め、そのメリット・デメリットについて分析を行ってきた。 また、関連領域と考えられる当該地域のサービス産業のブランド化についてのフィールドワークも実施してきた。 方法論的には、経営学分野においては方法論的チャレンジと位置づけられる、ビッグデータに関するテキスト・マイニング技術に関する研究の体系的整理を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調である。 平成26年度は,京都府・滋賀県上場企業のデータを更新するとともに、フィールドワークを行いつつ(4-12月)、また、ブランド構築理論や老舗経営、ネットワーク分析の視点から検討を重ねた。また、京都府・滋賀県における老舗企業、実務家の視点からのフィードバックを得た(4-12月)。国内学会(組織学会、社会学会等)において、分担者を含む関連領域の研究者との議論及び検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、第一に、平成26年度に実施した、京都及び滋賀県の上場企業に関するデータ収集と文献研究をさらに発展させ、当該地域のものづくり企業の経営者及び従業員らのもつ社会的関係の事例収集と分析からの理論構築及び一般化法則を検討する。そのため、京都老舗企業における人間関係の解明のために、当該テーマにかかる古書(絶版書)を含むの資料収集を集中的に行う。 第二に、京都ブランドに関わるソーシャルメディアデータの収集・解析システム構築のための、昨年度に機材の制約を解消すべく、これを重点的に行う。 第三に、定性的事例研究にくわえ、ネットワーク分析を活用した質問紙調査を設計、プリテストを実施する。京都のものづくり企業の経営者並びに従業員のもつ社会関係が企業のソーシャルキャピタルに転化するメカニズムを解明を試みる。 以上を通じて、ソーシャルキャピタルが、京都ブランドひいては企業の競争力を強化するメカニズムの理論的検討を行い、「BTCブランドモデルからBTBブランドモデルへの展開」概念を発展的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SNS(ソーシャルメディア)上で収集を試みたデータ量がビッグデータ時代のユーザー行動を反映し指数関数的に増大し、データ収集及び解析のためのシステム構築が、研究計画作成時とは異なる設定・変更を必要とした。これにともない、安定したデータ収集及び解析のための機材の選定及びその後の設計の検討の必要性が生じたのが、主たる理由である。 平成26年末には一定規模のデータ解析は可能な状態であったが、より安定的かつ強力なデータ収集と解析システムの構築に向けて、現システムの制約限界及び再構築のための予算執行タイミングを計り、システム構築上かつ、所属組織内の予算執行手続き上、平成27年度に集中に予算執行をすることがより適切であると判断し、次年度利用への決定を行った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度においては、データ収集と解析システムの構築(4-8月)、京都における事業所プリテスト(9-10月)、古書(絶版)図書の収集とデータ整理(4-12月)、国際学会おける報告(American Sociological Association, Chicago)(8月)など、所属組織の予算執行手続き担当者と連携し、年度内前半に集中的に予算執行を行う計画である。
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