研究課題/領域番号 |
26285192
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
加野 芳正 香川大学, 教育学部, 教授 (00152827)
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研究分担者 |
吉田 文 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (10221475)
飯田 浩之 筑波大学, 人間系, 准教授 (40159562)
米澤 彰純 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70251428)
古賀 正義 中央大学, 文学部, 教授 (90178244)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育社会学 / 教育社会学のフロンティア / オーラル・ヒストリー / 学会の制度化 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
本研究課題は4つのパートからなっていて、それを研究代表者(加野芳正)と4人の研究者の共同研究として進めてきた。それらの作業は、(1)学会の歴史に関する資料の収集と整理、そして分析、(2)日本教育社会学会の先輩会員(教育社会学第2世代、第3世代)へのインタビュー調査、(3)教育社会学の学術的課題(学問的課題、現代的的課題)による日本語論文集=全2巻の刊行、(4)日本の教育社会学の学問的水準を広く世界に発信することを目的とした英語論文集の刊行、である。 (1)については資料がほぼそろい、8月下旬までに報告書として刊行する予定である。(2)については、18人に対するインタビューを完了するとともに読み物風に整理して、『日本の教育社会学と18人の軌跡-オーラルヒストリーによる語り』東洋館出版社、2018年8月刊行予定である。原稿はほぼ出そろっている。(3)については『教育社会学のフロンティア1-学問としての展開と課題』(日本教育社会学会編、本田由紀、中村髙康責任編集、2017年10月)、『教育社会学のフロンティア2-変容する社会と教育のゆくえ』(日本教育社会学会編、稲垣恭子、内田良責任編集、2018年3月)として、いずれも岩波書店から刊行した。4)英語論文集については、Japan’s Education in the Global Age-Sociological Reflection and Future Direction-(Akiyoshi Yonezawaほか責任編集)として今年中には刊行される予定である。すでにすべての審査を終え、原稿を出版社であるSpringer に送付している。 本研究は順調に進展しているが、図書の刊行に向けての調整が必要なため、研究期間を1年間延長することにした。また、研究成果は『教育社会学事典』(丸善、2018年1月刊行)にも活用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は4つのパートから成り立っているが、最終年度を迎えるにあたって、それぞれに順調に進展したと言える。その理由は以下のとおりである。 (1)については資料がほぼそろい、8月下旬までに報告書として刊行する予定である。具体的には『データブック 日本の教育社会学』(仮題)として報告書にまとめるとともに、学会大会(日本教育社会学会第70回大会、仏教大学)において成果を会員に報告することにしている。(2)については、18人の教育社会学者に対するインタビューを完了するとともに、研究成果を広く普及させるために『日本の教育社会学と18人の軌跡-オーラルヒストリーによる語り』(仮題)として東洋館出版社より、2018年8月刊行予定である。現在、出版社との最終的な構成をしているところである。(3)については『教育社会学のフロンティア1-学問としての展開と課題』(日本教育社会学会編、本田由紀、中村髙康責任編集、2017年10月)、『教育社会学のフロンティア2-変容する社会と教育のゆくえ』(日本教育社会学会編、稲垣恭子、内田良責任編集、2018年3月)として、いずれも岩波書店から刊行した。4)英語論文集については、Japan’s Education in the Global Age-Sociological Reflection and Future Direction-(Akiyoshi Yonezawaほか責任編集)として今年中には刊行される予定である。すでにすべての審査を終え、原稿を出版社であるSpringer に送付している。 教育社会学という学問分野が戦後の新しい学術研究体制のもとで、どのように発展していったのか、現在の教育社会学の研究がどのような水準にあり、どのような学問的課題があるのか、日本語論文集や英語論文集、先輩会員に対するインタビュー調査を通じて明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は研究期間を4年間としたが、最終的な図書の刊行という作業が残されている。『日本の教育社会学と18人の軌跡-オーラルヒストリーによる語り』(仮題、東洋館出版社、2018年8月刊行予定)、および、英語論文集 Japan’s Education in the Global Age-Sociological Reflection and Future Direction-(Akiyoshi Yonezawaほか責任編集、Springer 2018年)を確実に刊行することが重要である。 日本語論文集『教育社会学のフロンティア1-学問としての展開と課題』では、教育社会学の再検討」「教育社会学の理論と方法」「教育社会学の新たな課題」の3つの観点から教育社会学の課題を論じた。このうち、教育社会学の新たな課題としては、「貧困」「ケア」という主題の学問への内部化、アイデンティティ概念の構築主義的展開とその外部、国家・ナショナリズム・グローバル化、少子高齢化社会と教育の課題、変容する産業・労働と教育との結びつき、等を取り上げている。また、『教育社会学のフロンティア2-変容する社会と教育のゆくえ』では、大きく「日本の教育システムの変容と現在」「学校のゆらぎと再編」「教育と文化のゆくえ」の3つの観点から、教育社会学の課題を整理した。教育格差、能力観、若者とトランジション、知の変容とアカデミズム、学校問題、教師という仕事、ジェンダーと教育、学校と子ども・若者支援、子ども観の変容、教育格差とペアレントクラシー、ニューカマー、ネット社会、教育と地域社会など、新しい課題もあれば古くて新しい課題もあることを示唆した。これらが、教育社会学にとっての重要課題であり、さらなる研究の進展が待たれることを示した。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.インタビュー調査(オーラルヒストリー)について、調査そのものは定められた期間内に完了したが、それを単行本として出版するので、そのための研究者相互の打合せ、出版社編集者(東洋館出版社)との打合せが必要になった。 2.資料収集と整理について、調査そのものは定められた期間内に完了したが、それを報告書としてまとめていくので、そのための経費を確保しておく必要が生じた。 3.日本教育社会学会、日本高等教育学会に於いて成果を発表するために、諸費が必要になった。
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