研究課題/領域番号 |
26285198
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
高橋 昭彦 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (80625442)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教員養成 / 教育実習 / 授業研究 / 授業記録 / 算数教育 / ICT / タブレット端末 / 授業観察力 |
研究実績の概要 |
タブレット端末を用いた授業記録ツールLessonNote を活用して授業観察記録の共有化を実現し,ICT授業記録分析支援システムを開発することによって授業記録の効率的な比較検討を行い,教師の授業観察力の向上をはかることを目的とした研究の第一年目として、1) LessonNote による授業記録データを集積するためのクラウド・データベース LessonNote Proの追加機能の開発、2) 東京学芸大学附属世田谷小学校におけるLessonNoteおよびLessonNote Pro の試用を実施した。 1) については、a) LessonNoteで収集したデータを蓄積し、PDFおよびCSVによる収集データの出力,画像データの取り出し,ならびにグループ内の複数のユーザによるデータの共有を行うためのデータベースの借り上げ、b) LessonNoteによって収集したデータに,データの統計的分析のための新たなデータフィールドの追加,データ表示のインタフェースなど,本研究のための機能(ユーザーグループの構成員に関するデータ、記録した授業に関するデータ)の追加、c) LessonNoteによって収集したデータに,データの分析のための新たな機能を追加、 を行った。 2) については、a) 教育実施期間中4学級において授業参観に使用、b) 教育実習生並びに指導教官によって収集されたデータをLessonNote Proにアップロードし、今後の開発・分析のためのデータとして保存、c) 附属学校教官によるLessonNote および LessonNote Proの使用に関するレポートをもとに、今後の機能改善にむけた資料収集を行った。 本年の実績により、教育実習におけるLessonNoteの活用ならびに授業記録データの集積が効率的に行えるようになり、複数大学における教育実習での試用が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LessonNote による授業記録データを集積するためのクラウド・データベース LessonNote Proを借り上げ、データの統計的分析のために、1)既存のデータフィールドの改良,2)データ表示のインタフェースの改良など、本研究のための機能を追加した。データフィールドの追加にあたっては、既存のデータベースの構造を一部修正するとともに、以下を新たに加えた。 1)ユーザーグループの構成員に関するデータ(職種,教職経験年数,専門教科) 2)記録した授業に関するデータ(教科,対象児童生徒の学年,題材) さらに、データの分析のための新たな機能として1)検索機能(教師・児童生徒・所属グループなどによって授業記録内容を検索、および、複数の授業間で,特定の教師・児童・グループなどに関する授業記録を検索する機能)2)検索のための新しいウェブ・インターフェースの開発、を行った。 しかしながら、上記の追加機能の一部に予想以上の時間がかかり、附属学校での教育実習において、全ての機能を試用するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1年次に開発したデータ共有機能並びにインターフェースを,他大学を含めた3大学(東京学芸大学,弘前大学,山梨大学)で、附属学校の教育実習およびその事前事後指導、または教職大学院における授業観察などで積極的に試用し、ICT授業記録分析支援システムの基本機能を検証・改善する.試行の実施と検証については,東京学芸大学については中村(連携研究者)西村(連携研究者),弘前大学教育学部について中野(連携研究者),山梨大学教育学部については中村(連携研究者)がそれぞれの附属学校等の協力を得て行う.また、研究代表者も、学芸大学附属学校、弘前大学、ならびに山梨大学における授業記録共有ならびにそれに基づく議論の実態を視察し、システムの実用性を検討するためのデータ収集を行う。 さらに、研究代表者が中心となり、これらの試用から得られたデータを総合的に検討し、クラウド・データベースLessonNote Proのグループ機能の強化、授業記録の比較、統合、検索のためのweb インターフェースなどの改善を行う。なお、LessonNoteの改善強化については、その開発者である、東京学芸大学、Project IMPULSならびに米国の非営利団体Lesson Study Allianceと共同して行う。 また、日本数学教育学会等の学会において、本研究の1年次ならびに2年次までに得られた知見を発表することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画打ち合わせなど、学内連携協力者のみで行ったため、旅費等の支出が生じなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、山梨大学、弘前大学で行うセータ収集のための旅費等として支出の予定。
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