研究課題/領域番号 |
26289336
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 悟 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00253542)
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研究分担者 |
水永 秀樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40226246)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 海底資源探査 / 海中グライダー / OBEM |
研究実績の概要 |
本研究では,低コストで効率的な海底資源探査を実現するために,電磁探査用のOBEM (Ocean Bottom Electromagnetometer) を搭載するグライダー型海中ビークルによる自律探査システムを提案し,これに求められる機体の流体力学的性能について調査した.
提案した資源探査法においては,対象調査海域の海底下構造を探査するために,海域内を適当な格子に分割し各格子の中心点となる測点をグライダー型海中ビークルが順次移動して自律的にOBEM計測を実施するため,グライダー型ビークルにとって基本的な特性となる定常状態における滑空比を中心に,機体に求められる運動性能を数値流体力学に基づき調査した.すなわち,翼面積を同一とし,その平面形状のみを変化させた2種類の機体について計算を実施し,流速0.2m/secの一様流中に固定された機体について機体の迎角を変化させてシリーズ計算を実施した結果,機体は迎角10度付近で最大揚抗比が5.4となることが確認された.機体の上下非対称性により迎角が負の領域では揚抗比が低い値となった.各機体の計算結果に大きな違いは見られず,翼平面形状の変化が滑空性能に与える影響は小さいことが確認された.また,機体運動の数学モデルに用いられる流体力係数を推算するために,一様流中で機体に正弦波状の変位を与えて機体の各方向に作用する流体力を算出した.この場合,作用する流体力に差異はほとんど見られず,潜航から浮上,浮上から潜航へと機体運動を変更する際に翼平面形状の違いが機体運動に与える影響は小さいことが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自律型OBEM 計測システム用海中ビークルの機体計画は,ほぼ予定どおりに完了した. 一方で,機体製作費が不足したため,水槽試験用機体の製作が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
自律型グライダー型ビークルの機体開発と,海底における精密位置制御システムの開発を実施する.すなわち,これまでに計画されたビークル機体とその6自由度運動方程式に基づき,潜航浮上時の機体運動シミュレーションプログラムにより運動制御システムの設計と検証を実施する.外乱の影響を考慮した運動制御には最適制御理論に基づく状態フィードバックを導入すると共に,必要に応じてその他の制御方式の有効性を検討する. 続いて,水槽実験で機体模型の滑空・浮上試験を実施し,運動シミュレーションに用いた機体の運動方程式の精度を確認する.また,水槽における機体の着底試験を行ない,開発された運動制御系の着底位置制御性能を調査し,提案する機体運動制御法の有効性を確認する. 水槽の造波装置により機体に擾乱を与え,制御系への外乱影響について調査すると共に,実験結果に基づき着底位置制御システムに改良を加える.また,波浪,潮流等の影響を考慮した実海域での制御性能をシミュレーション計算により調査する. 機体の運動性能を確認するためには実験水槽の水深は不十分であり,また,造波装置による機体周りの流体の擾乱と実海域の外乱は性質が大きく異なるため,水槽実験で着底位置制御システムの基礎的な性能が確認された後に実海域試験を実施する.実海域試験用機体としては初年度より計画,製作された水槽実験用機体に水中重量調節装置を搭載したものを用いる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定していた機体模型製作費にかかる申請額よりも交付額が少なかったため,模型が製作できなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額と交付額と合わせて,模型製作を実施する.
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