環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチングは、霊長類特有の重要な認知機能である。NMDA受容体拮抗薬であるケタミンの低用量全身投与は、このような柔軟性を障害するが、その神経回路メカニズムは不明である。本研究では、2つの判断課題を柔軟に切り替えるタスクスイッチ課題を遂行中のサルの大脳皮質LIP野ニューロン活動を計測した。ケタミン投与は、不必要な情報の排除を障害し、判断関連活動の開始を遅らせた。これらの結果は、ケタミンが「いつ」、「どの」情報を処理すればよいのかに影響を与えたことを示唆する。
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