研究課題/領域番号 |
26291013
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
児嶋 長次郎 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50333563)
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研究分担者 |
藤原 敏道 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20242381)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NMR / 蛋白質 / 立体構造 / in situ |
研究実績の概要 |
本研究は生きている細胞で働いている蛋白質を、そのままの状態で立体構造決定するNMR技術の開発を目的とする。具体的には、生きている細胞で観測したい蛋白質のみを領域選択的かつアミノ酸選択的に安定同位体標識してNMR信号を帰属する技術や、細胞内で安定な還元耐性スピンラベル試薬およびキレート試薬を用いた新規NMR測定解析技術を開発し、阪大蛋白研が開発・整備を進めてきた高磁場DNP法など世界最先端のNMR技術・装置と組み合わせることで、生きている細胞のままで蛋白質の立体構造を決定する技術を確立することを目指している。 平成28年度は、平成27年度から継続して、(1)目的蛋白質の領域選択的かつアミノ酸選択的な安定同位体標識技術の開発や、(2)還元耐性スピンラベル試薬およびキレート試薬を用いたNMR測定解析技術の開発などの基盤技術の開発に取り組むとともに、(3)生きている細胞のままでのNMR信号の帰属法の確立や、(4)生きている細胞のままでのNMR立体構造情報の収集に取り組んだ。さらに、(5)高磁場DNP法などを駆使して生きている細胞での蛋白質の構造決定にも取り組んだ。具体的な成果は以下の通り。(1)ではアミノ酸選択的かつ高効率な13C標識に成功し、これらを用いた分子量5万の蛋白質の主鎖帰属に成功するなど、基盤技術を確立することができた。(2)ではPREやPCSを用いる精密構造決定法の開発に成功するなど、技術開発が大幅に進んだ。(3)(4)では電気穿孔法を用いる蛋白質導入技術によって技術的問題点を解決し、生きている細胞のままでのNMR信号の帰属や構造情報の収集が進んだ。(5)では、構造計算の過程で構造情報の不足が明らかとなった。このため、自動構造決定ソフトの開発やメチル基間NOEの取得などに注力し、構造情報が不足する問題を解決しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
構造計算の過程で構造情報の不足が想定以上であることが明らかとなった。また、平成28年4月に研究代表者が横浜国立大学に異動となり、研究実施場所の変更に伴う研究環境の整備に要したことで、実験にも遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は平成28年度までの3年間で目標を達成する計画であったが、これを1年延長することで研究の遅れを克服する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年4月に研究代表者が横浜国立大学に異動となり、研究実施場所の変更に伴う研究環境の整備に時間を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に実施予定であった実験を遂行するための人件費と消耗品に充てる。
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