研究課題
前年度から継続して、(1)タイ北部のHIV感染者コホートでの生存期間の短縮に寄与するHLA-DR-TNFAハプロタイプ、(2)同コホートでの抗HIV薬ネビラピン副反応発症者、(3)マラリア感染霊長類疾患モデルならびに感染性血小板減少症ニホンザル、(4)ベトナムでのデングウイルス感染の重症化に関連する応答、(5)慢性B型肝炎等感染症の発症リスク・ワクチン応答性、(6)自己免疫性肝疾患における免疫調節異常、 (7)周期性発熱の7項目の研究を行なった。(1)(2)については、タイの研究協力者との共同研究、(3)は国内の飼育中のニホンザル、カニクイザルから採取した検体の使用、(4)(5)(6)(7)は検体収集と解析を進め、自己免疫性肝疾患(下記①)と周期性発熱(下記②)について新しく遺伝子型が疾患表現型への影響を示す結果を得ることができ、論文として報告した。また、中国で報告されたHLA-DP座位のパピローマウイルス感染への易罹患性への寄与を日本人にもあてはまるか追試する研究を実施した(下記③)。①原発性胆汁性胆管炎(PBC)の遺伝的要因解明を目的として、ゲノムワイドな遺伝子多型の効果を評価する研究を進め、これまで報告されていない新しい遺伝子(PRKCB)の発症への寄与を明らかにした。②家族性地中海熱(FMF)はMEFV遺伝子のミスセンス変異によって起こる。日本人では非定型的症例が多く、遺伝子型-表現型の対応が明確でないが、疾患の認知度が高まるにつれて、本症の確診例が決して稀でないことが判ってきた。③中国での進行性子宮頸がんのGWASで同定された遺伝的リスクが日本人にもあてはまるかを検証する患者-対照研究をデザインし、17q12に位置するrs8067378の疾患リスクへの寄与を再現した一方で、HLA-DP多型が示すとされたパピローマウイルス感染への易罹患性への影響は証明できなかった。
2: おおむね順調に進展している
代表者・分担者共に異動があったため、一時的に研究活動が滞ったが、最終的にはわずかな影響に留まった。
次年度は研究課題の最終年度であるので、当初の計画を完了させ、結果の公表を行なう。
年度初めに代表者が、年度前半に分担者が異動となり、一時的に研究活動に時間的な制約が生じ、当初今年度に予定していた研究が一部実施できなかった。
今年度実施できなかった研究は次年度の第1四半期までに実施して、当初の計画を完遂する予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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