研究課題
(1)高規格AAVベクター製造法の開発:前年度に引き続き、大規模製造に適したプロトコルを検証し効率化を推進した。小型ガス透過性フラスコを用いて適切な培養条件を保ちながら作業の効率化を図り、遺伝子導入およびウイルス産生条件を検討した。硫安沈殿、両イオン交換法およびゲルろ過を組み合わせることで、超遠心操作を用いずに高純度のベクターを製造することに成功した。(2)脳神経疾患における新規遺伝子導入法とタンパク質補充療法:引き続き、脳組織への外来遺伝子導入法として、マイクロバブル併用超音波照射を応用し、関心領域あるいは広範囲脳組織への導入条件を解析した。またMCA閉塞SDラットにおいて、虚血再灌流後に間葉系幹細胞や歯髄幹細胞を血管内投与し、TTC染色にて梗塞体積および浮腫体積を測定し、予防的な治療効果を検討した。(3)ベクター産生型標的細胞によるin situ遺伝子治療:引き続き、間葉系幹細胞や歯髄由来幹細胞を応用したベクター産生型細胞の機能を検証した。ルシフェラーゼ発現ベクターのコンポーネントを間葉系幹細胞や歯髄由来幹細胞に導入し、培養細胞の系で遺伝子発現およびベクター産生を評価した。培養スケールを大規模化し、遺伝子導入条件、ベクターのコンポーネントの比率やDNA量について、ベクター産生条件を検討した。
2: おおむね順調に進展している
従来の精製法における密度勾配超遠心操作はGMP生産において不利な操作段階であったが、イオン交換やゲル濾過クロマトグラフィーを応用し、密度勾配超遠心操作を省略可能なAAV精製プロトコルを確立した。製造したベクターを用いた遺伝子導入試験を行い良好な遺伝子発現が確認された。GMP生産への応用を推進すると同時に、純度の高いベクターを応用することで、脳組織への遺伝子導入や脳神経疾患の治療実験において、安全に長期間の効果が期待できる。また、間葉系幹細胞に加え歯髄由来幹細胞についても、ベクターコンポーネントの導入およびウイルス産生条件の検討を行った。
今回開発した密度勾配超遠心操作を省略可能なウイルス精製プロトコルを応用し、より大規模での試験製造を実施することで、GMP製造に向けた課題を検証する。また、カプシドに親和性の高いアプタマーの網羅的スクリーニングを行い、アフィニティー精製に応用可能な担体の開発を進める。純度の高いベクターを応用することで、脳組織への遺伝子導入や脳神経疾患の治療実験において、安全に長期的効果が期待できる。また、間葉系幹細胞に加え歯髄由来幹細胞についても、ベクターコンポーネントの導入とベクター産生条件を検証することで、腫瘍性疾患や炎症性疾患の治療研究を推進する。
密度勾配超遠心操作を省略可能な精製プロトコルの確立が予想以上に順調に進行し、国内民間企業への技術移転と論文発表に至った。この基盤技術を応用し、さらに様々な血清型での条件検討や産業スケールでのGMP製造が期待される。
今回開発した密度勾配超遠心操作を省略可能なウイルス精製プロトコルを応用し、より大規模での試験製造を実施することで、GMP製造に向けた課題を検証する。また、カプシドに親和性の高いアプタマーの網羅的スクリーニングを行い、アフィニティー精製に応用可能な担体の開発を進める。この基盤技術を応用し、さらに様々な血清型での応用が高く期待される。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 図書 (3件)
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