研究課題
脳神経外科の手術では出血を防ぐため一時的に動脈を遮断することがある。安全な血流遮断を可能にするため、本研究は脳表のエネルギー状態をリアルタイムで解析するモニター開発を目的としている。正常な状態ではミトコンドリアで酸素とNADH(nicotinamide adenine dinucleotide)が結合しエネルギーを産生している。虚血によりエネルギーが産生できなくなるとNADHが蓄積する。NADHは内因性蛍光物質でその蛍光強度の増加はエネルギー産生状態の悪化を示している。本年度は脳表から30cm側方より350nmの励起光を150Wキセノンランプを用いて照射し、NADH蛍光強度を高感度CCDカメラで2次元的にリアルタイム測定した。励起光源の照射時間、CCDカメラのシャッター速度を決定し、データ転送、画像解析を行うプログラムを開発した。特に、1.最適な露光時間の決定。2.励起光と蛍光観察の光学フィルター群の決定。3.臨床で使用可能なヒューマンインターフェースの作成を行った。1.励起光源の照射時間が延長するとphoto-oxidationにより蛍光強度の低下が観察された。一方、短すぎると呼吸性変動の影響を受けた。そのため、2秒程度の照射時間が適当と考えられた。2.光学フィルターには透過帯域の狭いバンドパスフィルターを用いる方法と、透過帯域の広いカットオフ型フィルターを用いる方法がある。カットオフ型フィルターを組み合わせることで受光光量は大幅に増加した。一方、CCDカメラは赤外線領域の感度が高く、その対策が必要であることが判明した。3.ヒューマンインターフェースの改善を行ったのち、ニホンザルを用いて、脳神経外科手術の実施シミュレーションを施行し、良好な結果を得た。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Neurosurg
巻: 27 ページ: 1-7
10.3171