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2018 年度 実施状況報告書

インド石窟美術史のための調査研究-西インド古代後期~中世前期石窟寺院を中心に-

研究課題

研究課題/領域番号 26300018
研究機関龍谷大学

研究代表者

平岡 三保子  龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00727901)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2020-03-31
キーワードインド美術史 / インド石窟寺院 / 古代インド仏教美術 / ヒンドゥー教美術 / エローラ石窟寺院 / アジャンター石窟寺院
研究実績の概要

2018年度は本課題の最終年度に当たるが、前年度に「推進方策」で報告したように様々な理由から5年間で研究実施計画通りに現地調査および研究を実施するのが困難との認識の上に立ち、南インドの関連遺跡の研究を将来的な課題として延期することとし、現地調査を見合わせた。他方、デカン高原の石窟寺院に関連して、アッラーハーバード州立博物館やグワリオール考古博物館といった中インド・北インドの古代末期~中世ヒンドゥー教美術の収蔵品が豊富な博物館の調査・資料収集を進めることができた。
デカン高原の石窟寺院に関しては、調査計画の遅れで前年度に遂行できなかったエローラ・ジャイナ教石窟寺院グループの調査に取り組むことができた。ただし第34窟の一部でA.S.I.(インド考古局)による保存修復作業が行われていたため、写真収集は再度試みる必要が生じた。また悪路によりアクセスが困難であったガトートカッチャ石窟寺1984年の調査以来の再訪がかないスムーズに調査を行うことができ、前回に確認できなかった本堂の特徴を把握し得た。またアジャンター第8窟は、40年以上も倉庫としてA.S.Iに利用され閉鎖されていたが、5年間にわたる研究代表者の嘆願が実り今年に入って現地スタッフにより本格的な清掃が行われた(窟内の物品は全て貸倉庫へと移動された)。昨年度の調査時にはとりあえず窟内に入場する許可が得られたものの収蔵された物品のため概観を把握することができなかった。しかし今回はようやく窟構造の全貌が知られ、古代初期~後期に至る過渡的様相を示す重要な遺例である証拠を確認することができた。をれは今後のアジャンター石窟研究に貴重な情報となるであろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2014年度から2017年度にかけて行われた3度のインドにおける現地調査は夏期休暇を利用したためインドの雨期と重なっていたが、降雨の影響を受けにくいデカン地方にあって珍しく降雨量が多く、雨天の影響を強く受けた。そのため残された調査研究課題が累積的に増加する一方となったが、昨年度の「推進方策」にも記したように、そもそも申請時の研究課題に対して研究計画を欲張った内容にしたことにも原因があり、特にわが国で研究の少ないヒンドゥー教美術を含めて5年間で計画通りの成果を上げることが非常に困難だという見通しからエローラ石窟と関連付けて南インド(タミル州、アーンドラプラデーシュ州、カルナータカ州)の諸石窟寺院の遺跡調査を遂行することを本課題から除外し、将来の課題と捉え直すことにした。そのため最終年度は研究調査のノルマが軽減された。あくまでも申請時当初の研究計画ではなく、昨年度の方策に立った上では、現地調査の方は概ね順調に進めることができた。しかしながら前年度後半には予期せず家庭内の問題が生じ、現地調査によって得られた情報資料の整理がまったくできない状態となり、また年度内に予定されていた最終的な現地調査も遂行できなかった。従って、本課題の延長申請を余儀なくされ、本課題に基づく現地調査および研究の取りまとめは2019年度に持ち越されることとなった。

今後の研究の推進方策

上述したように本研究課題は2019年度に持ち越された。現地調査は2019年9月を予定しているが、その折に、研究概要に記したように保存修復中で前回調査できなかったエローラジャイナ教石窟の一部、インド考古局の許可がなかなか下りずに先延ばしとなっていたエレファンタ島ヒンドゥー教石窟の調査申請にも再度挑戦する必要がある。また長らく関わってきたムンバイのCSMVS(チャトラパティシヴァジ・マハラジ・ヴァーストゥ・サングラハーラヤ、旧プリンス・オブ・ウェールズ博)においてもスタッフとの親交を深めることでようやく収蔵庫の調査許可が下りる段階まで辿り着き、今年度9月に向けて調整を進める予定である。また、6年にわたり継続してきた調査に基づき、インド・デカン地方石窟寺院の建築・彫刻を主体とした基礎資料集成を制作する所存であるが、まずは仏教石窟寺院を中心とした基礎資料集を刊行する準備を出版社と進めている。ヒンドゥー教美術に関しては基礎的な研究資料の収集を含めて大きな課題を残しているが、将来的に別課題として研究計画を提出する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2018年度後半に予期せず家庭内に問題が生じ、2018年2月に予定していたインド現地学術調査を断念せざるを得なかった。そこで研究課題の延長申請を行い、これが承認されたため2019年9月にインド現地における学術調査を実施すべく計画を立てている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A study of Cave No. 7 in Ganesh Leni Caves of Junnar Cave Temples2019

    • 著者名/発表者名
      MIHOKO HIRAOKA
    • 雑誌名

      Prof. A. P. Jamkhedkar felicitation Volume

      巻: - ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 聖遺物をめぐる仏伝図~カナガナハッリ仏塔の作例を中心に~2018

    • 著者名/発表者名
      平岡三保子
    • 雑誌名

      南都仏教

      巻: 100 ページ: 25/49

    • 査読あり
  • [図書] Hindu Deities Worshipped in Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Benoy Behl and Mihoko HIRAOKA
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Benoy K Behl Films

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公開日: 2019-12-27  

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