研究課題/領域番号 |
26301038
|
研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
沼口 博 大東文化大学, 文学部, 教授 (80102193)
|
研究分担者 |
菅沼 隆 立教大学, 経済学部, 教授 (00226416)
横山 悦生 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40210629)
穴見 明 大東文化大学, 法学部, 教授 (70144102)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 徒弟訓練 / 応用科学大学 / 職場での訓練 / 労働市場 / 職業資格 / コーディネーター |
研究実績の概要 |
昨年度(この3年間)までに明らかになったことは、北欧諸国では新しい徒弟訓練(New Apprenticeship)を1990年代から採用し始めたが、その成功の理由を具体的に見てみると、職場で学ぶことによる生徒の動機づけの強さ、訓練する企業等と訓練を受ける生徒との間を調整する機関や調整者(コーディネーター)の存在、企業側のニーズの強さ(後継者あるいは新人が欲しいという)、学校側からのサポートの在り方、熟練や一定の蓄積が必要とされる職業(特に製造業など)に対する社会的評価が高い地域的特性の存在などがあることが明らかになった。しかし反面で、上記のような地域的な特性が存在しないところでは徒弟訓練にどちらかといえば否定的で、高等教育機関への進学志向が強くなる傾向がある。それに対応する意味で、高等職業教育機関の新設や学科の増設など新しいタイプの高等教育機関(University of Applied Science)が増えてきていることもわかった。これらの高等教育機関は企業との結びつきも強く、企業ニーズに沿った教育、訓練が可能なことがその増加の要因の一つと考えられる。労働市場のニーズに対応した訓練が徒弟訓練という形で導入されてきていることが良く分かった。企業と訓練対象者の関係やその間に入るコーディネーターなどの仲介者の役割などについて。今後さらに詳しく追究していく必要があるものと思われる。また地域的な特性についても、なぜそのような地域的特性が生じたのかを歴史的にも振り返ってみる必要がありそうだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北欧諸国の学校教育機関、労働関係機関及び徒弟訓練に熱心な企業、訓練生などへの聞き取りが順調に進んでいる。他方で徒弟訓練が上手くいっていない理由について、学校関係者や企業側、労働関係機関への聞き取りについて手を付けられていないので、その点が今後の課題だと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
上記に記したように、新しい徒弟訓練が上手くいっていない地域での原因には何が影響しているのか、また若者がなぜ徒弟訓練を嫌うのか、その要因を探ることと併せて、徒弟訓練が上手くいっている要因などについて、可能であれば調査を実施してみたい。しかし規模や質問項目など、細かく準備をする必要があると思われるが、今年度の実施は研究プロジェクトへの参加者メンバーの意見なども踏まえて判断したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
これまでの成果の一部を出版する計画であったが、内容および原稿の集まり具合などから延期せざるを得なくなったこと。また、調査内容についてさらに詳細に調べる必要があったことから、今年度の調査を精査して、来年度に詳しい調査を実施することにしたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は国際会議を開催する予定であり、これまでの成果を総括する年でもあり、この国際会議を中心にして、詳しい調査計画とこれまでの成果を出版物にまとめることに充てたい。またホームページでも見ることができるようにWebに載せるための費用としても使用したい。
|