研究課題/領域番号 |
26304030
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
西川 淳 東海大学, 海洋学部, 教授 (10282732)
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研究分担者 |
大塚 攻 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (00176934)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | クラゲ / 東南アジア |
研究実績の概要 |
2年目である本年度は、フィリピン、マレーシアの2カ国、3カ所において調査を実施した。フィリピン・パラワン島において、ミンダナオ州立大学および西フィリピン大学などの共同研究者と共に食用クラゲLobonemoides robustusを対象とした遺伝子解析および共生生物の試料の採取を行った。また、現地の漁業について聞き取り調査を行った。さらに、ハブクラゲの1種に共生していたカイアシ類の新種を記載した。マレーシアでは、プトラ・マレーシア大学の共同研究者と共にサラワク州クチン周辺で食用クラゲLobonemoidesの遺伝子解析用の試料採集を実施し、同時に漁業についての実態調査も行った。さらに、ペラ州のベルナム川およびペラ川で、Acromitus hardenbergiなどの食用クラゲ累の採集調査を実施した。プトラ・マレーシア大学に生きたままの個体を持ち帰り、水槽で飼育し、繁殖させることにより、プラヌラ幼生を得ることが出来た。初期生活史を調べる一環として、このプラヌラ幼生を用いて様々な条件下で着生実験を行った。一方、これまでに東南アジア各地で採集した食用種Rhopilema hispidumについて、COI遺伝子の増幅に成功し、ハプロタイプ分析を行うことに成功した。得られた成果は、来年度中に国際シンポジウムにおいて公表予定である。共生生物に関しては、東南アジアとの比較を目的として瀬戸内海産の鉢クラゲ類を中間宿主・延長宿主として利用する吸虫類の寄生率、寄生個体数の季節変動および生活史を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前準備等を綿密に行った結果、2カ国、3カ所で順調に調査が終了し、一定の成果を上げることが出来たと考えている。また、初年度とあわせて今年度も論文3編と国内外での学会発表9件(うち招待講演1件)を成果として公表することが出来たので、このペースを維持していきたい。ただし、ベトナムについては今年度調査が出来なかったので、次年度以降に行う予定である。また、集団遺伝に関する試料の収集も、特に現在解析が難航している種について引き続き精力的に行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、(1)大量発生するクラゲ個体群の集団遺伝学的研究と、(2)大量発生するクラゲ類の生活史研究の二つのテーマについて、引き続き研究を実施する。特に、クラゲ類2種Lobonemoidesu robustusとRhopilena hispidumについて、ベトナム、タイ、フィリピンなどでの調査を予定している。Acromitusについては生活史の一部が解明できたので、論文として公表する予定である。クラゲ類の共生生物についても引き続き、調査を実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたベトナムでの調査が出来ず、旅費の余剰が出たこと。また、遺伝子解析にかかる費用が比較的安価で済んだこと。
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次年度使用額の使用計画 |
マレーシア、タイ、ベトナムでの調査に関する旅費、調査費に充当する。また、5月に予定している国際シンポジウムでの研究発表に関わる旅費、参加費等でも使用する予定である。さらに、本年度はより本格的な遺伝子解析を予定しており、試料の分析等に使用する予定である。
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