超立方体上にN個の一様ランダムなサンプル点を発生し、それらの点での関数fの値の平均値を持ってfの積分値を近似するのがモンテカルロ法である。これに対し、超立方体におけるサンプル点を巧みに配置することで、数値積分誤差をより小さくする手法が準モンテカルロ法である。そのような点集合を超一様点集合と呼ぶ。なかでも、2元体の線形代数を用いて生成された点集合をデジタルネットと呼ぶ。デジタルネットにも各種あり、t-valueを小さくするSobol点集合、また近年提案されたより高次の収束を狙いとするInterlaced Sobol点集合などがある。本研究においては、t-valueとはタイプの異なるパラメータ付きWAFOMを指標として、準モンテカルロ法にとって良いデジタルネットを、山登り法を用いて探索した。得られた点集合の性能を既存の点集合と数値実験を行って比較した。被積分関数が滑らかなものであるときは、低WAFOM点集合は他の点集合よりもよい近似を与えた。また、指数関数の準モンテカルロ積分誤差とWAFOM値が近いことも示した。これは、指数関数を含む関数クラスに対して準モンテカルロ誤差を小さくするためには、使用する点集合のWAFOM値を小さくしなくてはならないことを意味している。 準モンテカルロ法の離散化について、有限群上の複素数値関数の平均をとることを考える。有限部分集合上の平均で近似するとする。すると、表現論的手法をもちいて、誤差をバウンドすることができる。このバウンドが達成される必要十分条件が「部分集合がdiffernce setであること」と同値になることを示した。このようにして、一見無関係な、準モンテカルロ誤差とdifference setの間に、関係があることを示した。さらに一般化し、可換アソシエーションスキームにおけるdifference setの概念を定式化、同様な定理を示した。
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