研究課題
本研究では、情報化社会において、広範な現実問題が共有する離散構造上の特徴を抽出し、これに基づいたアルゴリズムの設計の理論の構築を行うことを目指していた。本研究を通じ、グラフ上の離散最適化において、代表的な問題である、独立点集合問題、次数制限グラフ上のトラベリングセールスマン問題、帰還点・枝集合問題に対して、多項式領域厳密アルゴリズムを分枝アルゴリズムに基づき設計し、これらの時間計算量の理論的上界が現在、世界最良のものであることを証明した。これらの結果を得るために、本研究では、「シフト」と呼ぶならし計算量と漸化式生成法というアルゴリズムの新しい解析手法を導入した。前者は、分枝ルールに対応した漸化式の系を解く際の解析をより精密に行うための技法で、後者は、解析に必要な漸化式の本数を変数の個数程度に減らすための手法である。いずれも、アルゴリズムの設計・解析技術の理論基盤の構築に寄与する成果であり、当初の目的を果たしている。この他、最近普及の進むドローンの利用を組み入れた新しいタイプの配送計画のモデル化を行い、これに対する近似アルゴリズムの設計を行った。また、離散データの可視化に向けた課題として、グラフの描画問題に対する数学的結果を得た。最終年度では、さらに、枝支配集合問題に対する多項式領域厳密アルゴリズムの設計、次数制限グラフ分割問題に対するカーネル構成アルゴリズムなどの設計、グラフ構造上の施設配置ゲーム対する結託耐性メカニズムの設計を行った。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
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