今日の情報セキュリティにとって一方向性関数は不可欠のものである。本研究の目的は、その一方向性関数を不動点という切り口から再検討することにある。不動点とは、関数 f について f(x)=x が成り立つような x のことであり、不動点では入出力が同じなので関数は一方向性とは見えなくなる。 本研究では特に、楕円曲線上で構成した暗号学的な関数の不動点の性質が未解決であることを踏まえ、それを部分的ではあるが解決した。具体的には、全楕円曲線のうち半数より多い曲線上の関数では自明な不動点を持ってしまうことを示し、また非自明な不動点を持つ関数を導く楕円曲線についても量的な評価を与えた。
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