本研究は,地域コミュニティ(RC)の再生を促進するために「地域社会関与」に着目し,RCの問題解決能力として「地域知能」(CI)を高めることがRC再生に繋がるという仮説を実証的に分析すること,及びCIの水準を推計するために地域関与指標CIIを開発し,これを用いて,各RCのCIを測定し,各RCの実態を比較調査するとともに,ICT(機械知能)の活用がCI向上策として有効であることを確認することを目的としている。 28年度は最終年度であり,27年2月に実施したアンケート調査結果を分析した。本研究の本質は,地域活動における問題解決力とは何であるか,それをITによってどのようにエンパワできるのかを解明し,モデル化することである。コミュニティインテリジェンス,構成概念といった分析ツールを援用しつつモデル化の可能性を検討した。また,アンケート結果データをソフトデータ(40種),公表されている東京都,各区などの統計データ(61種)をハードデータとし,これらを組み合わせて,3区(北区,品川区,世田谷区)間に存在する違いを見出すことに注力した。 その結果,次のことが明らかになった。①3区ともに,地域活動に強く又はやや強く関心を持つ回答者の割合は少ない。また,IT機器を地域活動に関連する情報収集などのために利用している回答者の割合も少ない。したがって,両者を組み合わせると,このような回答者の地域知能への認識を3区間で比較分析することは非常に困難である。今回は,信頼度は低いが傾向として把握することに留めた。②傾向としては,品川区が北区,世田谷区よりコミュニティとしてより良好なパフォーマンスを示している。③各区800名の回答者でもその回答をいくつかに層別して分析するにはやはり少ない。 3年間の調査研究結果をまとめて,国士舘大学経営学部紀要『経営論叢』に投稿する予定である。
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