研究課題/領域番号 |
26350006
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久保田 善明 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60544955)
|
研究分担者 |
川崎 雅史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20195077)
山口 敬太 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80565531)
山田 圭二郎 金沢工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00303850)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | デザインマネジメント / パブリックセクター |
研究実績の概要 |
本研究は、国や地方自治体などのパブリックセクターを主体としたデザインマネジメントの研究の重要性とその研究蓄積が不足する現状を鑑みて、パブリックセクターが主体となるデザインマネジメントの理論体系を明らかにすると同時に、その実践的応用を図ることを目的としている。平成27年度の実績として、事例調査・分析、および、理論体系の構築に資する基礎的な研究を実施してきた。具体的には、以下のとおりである。 1.事例調査・分析:エムシャーパーク(ドイツ)、水都大阪(日本)の2事例のほか、ゲーツヘッドミレニアム橋、クラウンブリッジ等についても多くの情報が得られている。それら事例におけるデザインマネジメントの方法やデザインへの競争性導入等について、得られた情報の整理・分析を進めている。 2.理論体系の構築:公共事業としての説明責任を果たすためには、デザインの価値をある程度定量的に把握する努力が必要である。そこで、環境経済学や公共経済学の分野で用いられる仮想評価法(Contingent Valuation Method:CVM)を景観デザインの価値に適用した価値評価方法について、その手法の精緻化および具体的な検討を進めてきた。平成27年度は、京都市の景観政策に対する京都市民や国内観光客の支払意志額の調査、人々の意識と支払意思額の関係性等について検討を行った。さらに、大阪都心部の街路整備の大きさと支払意志額の関係性についても検討を行った。また、公共財のデザインに、コスト競争ではなく「デザインの競争」を導入するための制度設計に向けて、より具体的な検討を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エムシャーパークと水都大阪の事例について情報収集を行った。また、これらの事例以外にも多くの情報が得られている。理論体系の構築については、前年度に引き続き、CVMによる価値評価手法の精緻化と実証を進めてきた。あわせて、パブリックセクターとしてのデザイン戦略論について、複数のフレームワークの検討を行った。公共財におけるデザインの競争性については、実効的な方法の検討をさらに具体的に進めており、おおむね順調に進んでいるといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
事例調査については、平成27年度までに入手できた情報を中心に今後それらの取りまとめを行う。理論体系の構築については、今後も引き続き検討を行うとともに、研究成果の取りまとめを行う。実践的応用については、具体的な新規事業との連携の可能性を模索するが、それが見込まれない場合には、これまでの実績や事例をもとに有効性を検討したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
おおむね計画どおりの支出であった。2万円程度の残金が生じたが、年間の使用実績としては誤差範囲であると考えている。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算とあわせて使用の予定である。
|