研究課題/領域番号 |
26350052
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
大石 美佳 鎌倉女子大学, 家政学部, 准教授 (80298249)
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研究分担者 |
松永 しのぶ 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50300033)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中年期女性 / 生活意識 / 将来展望 / ひとりの時間 / ソーシャルサポート期待 / 主観的幸福感 |
研究実績の概要 |
本研究は人生の折り返し地点にある50歳前後の成人女性の未来展望を明らかにし、未来展望に影響を及ぼす要因について、個の発達と関係性の発達の2つの側面から、数量調査によって実証的に検討することを目的とする。 27年度は調査票作成に向けての予備的検討として質問紙調査を実施した。予備調査では50歳前後の成人女性99名を対象に、現在の生活状況と生活意識の実態を把握し、個の発達の一側面として「ひとりの時間」の過ごし方や感情・評価、関係性の発達の一側面として高齢期に期待するソーシャルサポートに着目し、分析を行った。 調査の結果、1.「ひとりで過ごすことに関する感情・評価」は「孤独・不安」「自立願望」「充実・満足」の3下位尺度、「ひとりの時間」の過ごし方は「自己内省」「個人的活動への没頭」「ストレスからの解放」の3下位尺度から構成されることが明らかになった。共分散構造分析の結果、「ひとりの時間」に個人的活動に没頭したり、自己内省をしたりすることで、ひとりで過ごす充実・満足感が高まり、それが中年期女性の主観的幸福感を促進することが示された。2.高齢期のソーシャルサポート期待については、14項目のうち経済面はパートナー、趣味娯楽を一緒に楽しむことは友人への期待が最も高く、その他12項目はすべて子どもへの期待が最も高かった。因子分析の結果、サポート源によって高齢期に期待するサポート内容の構造に違いがみられた。また、相関分析の結果、子ども以外のサポート源のソーシャルサポート期待は現在の主観的幸福感と、パートナーときょうだいへの期待は現在の暮らし向きと、友人、近隣の人、社会サービスへの期待は社会的活動参加数と有意な正の相関を示した。高齢期におけるパートナーへの期待の高さは現在の経済状況と健康状態、家族以外への期待の高さは現在の社会的ネットワークと関連していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成人女性の発達をとらえる尺度を検討するために予備調査を実施した。量的調査を実施する前段階として、さらなる尺度項目の検討が必要であると判断し、量的調査は次年度への継続課題となった。2回目の予備調査において、中年期女性の「ひとりの時間」の過ごし方や感情評価及び高齢期に期待するソーシャルサポートの内容や構造について分析できたことは、成人女性の発達を個と関係性の側面からとらえる本研究にとって有益な成果と考える。
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今後の研究の推進方策 |
26年度と27年度に実施した2つの予備調査から得られた結果をもとに、50代の女性を対象とした量的調査を実施し、中年期女性の将来展望に影響を及ぼす要因の検討を行う。研究成果は、学会発表、学術誌等で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本調査実施時期の変更によって調査実施に関わる支出(調査票の印刷費、郵送費、データ入力委託料、データ分析補助謝金等)が翌年度に繰り越されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度に本調査を実施し、データ分析を行うことで、印刷費、郵送費、データ入力委託料、データ分析補助者謝金を使用する。
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