研究課題/領域番号 |
26350052
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
大石 美佳 鎌倉女子大学, 家政学部, 准教授 (80298249)
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研究分担者 |
松永 しのぶ 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50300033)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中年期女性 / 「個」の発達 / 「関係性」の発達 / 未来展望 / 獲得感 / 喪失感 / ソーシャルサポート期待 / ひとりの時間 |
研究実績の概要 |
成人女性の生活状況、心理的発達、心理的適応と未来展望との関連ついて検証するため、関東1都6県に在住する50歳代の女性1000名を対象にWEBによるアンケート調査を実施した。50歳代女性の家族状況は多様であり、約6割が就労、健康状態は良好な傾向がみられた。世帯年収は3割弱が400万円未満である一方、約2割は1000万円以上であった。高齢期のソーシャルサポート期待については、子どもに対する期待の高さが示された。息子と娘の両方がいる場合には、息子よりも娘に対する期待が高い傾向がみられた。パートナーに対しては、サポート領域にかかわらず、全般的に期待が高いという特徴がみられた。これから先の人生における獲得感と喪失感について、獲得感と喪失感の各領域別得点の差についてt検定を行った結果では、「心身機能」「社会・経済」「社会的関心」「生きがい」は喪失感が獲得感よりも高く、「心理的充足」「自己決定」は喪失感よりも獲得感が高かった。これから先の人生において、心身の機能や社会とのつながりを失っていくと感じている一方で、内面的な充実に対する期待感を持っていることが示された。未来展望に関連する要因について相関分析を行った結果からは、将来における獲得感・喪失感は、現在の生活状況や心理的発達と密接に関連していることが明らかになった。現在の生活において、健康状態がよく、社会的活動に積極的で、幸福感を感じている人ほど獲得感は高まり、喪失感は低まる傾向がみられた。また、心理的発達との関連からは「個」と「関係性」の発達のどちらにおいても適応的な人ほど獲得感が高くなり、喪失感が低くなる傾向がみられた。これらの結果から、現在の生活状況を基盤として未来を展望していること、「個」と「関係性」の2側面での心理的発達の高さが肯定的な未来展望へとつながることが示された。
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