人の脳における味覚の情報処理メカニズムの一端を明らかにするため、塩味による苦味抑制効果について検討した。舌の離れた左右の2つの場所の一方を苦味刺激しもう一方を同時に塩味刺激した場合に、苦味強度が抑制されることが示された。このことは塩味による苦味抑制効果の少なくても一部は、脳における情報処理を介して起こっている示唆すると考えられる。さらに、NaClとNa-Gluconateでは同等の苦味抑制効果が見られたが、塩味は後者が前者に比べて弱いことが明らかになった。塩味がNaだけで決まるものではないこと、及び苦味抑制効果の機序が複雑であることを示唆している。
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